「子宮頸がんのない未来」は見えるか。HPVワクチンの現在地
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注目のコメント
HPVワクチンについての網羅的な記事を9価が定期接種の対象となる直前のタイミングでだして下さりさすがです。
記事内容に少し補足しますと、
・HPVワクチンの接種率が低かったために子宮頸がん罹患率が増えているわけではないです。(今後、接種率が高ければ減るはずの罹患率が減らない、という影響は予想されています。)
・WHOの目標を達成している国はまだオーストラリアくらいで、オーストラリアでも「かつてあった病気」にはまだなっていないです。オーストラリアでは2028年に撲滅(10万人あたり4人以下)されるやろうと推測されています。ただ、今後続々とほかの国でも子宮頸がんの患者さんは減っていくと思われます。
産婦人科医として伝えたいことを要約すると、
・子宮頸がんは女性ならだれもが若くしてもかかりうる病気ですが、
・16歳までのHPVワクチン接種と20歳からの子宮頸がん検診とで予防できます
・17歳~1997年度生まれまでの女性はキャッチアップ接種として今なら特例で無料で接種できます(はやい方がより有効)
・HPVワクチンの安全性は確認されています
・男性にとっても有効ですが今はまだ自費で、定期接種化を求めています
以上です。子宮頸がんにかかった患者さんから、予防できる方法があるのになんで(日本社会は)もっと教えてくれなかったのか、と言われると本当に心が痛みます。わたしも有志で啓発に尽力していますが、限界があります。ぜひメディアのみなさまや学校、そして周囲への口コミで周知を広めていって頂きたいです。どうぞよろしくお願い申し上げます。ずっと気になっていたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン。4月から新たに9価ワクチンが定期接種に導入されるというタイミングを受け、最新状況をまとめました。
記事にあるように、日本は約9年間、定期接種が事実上の停止に陥っていました。WHOはこの間の2015年12月に出した声明の中で、日本の状況について「若い女性が防げるはずのHPV関連がんに対して脆弱なまま放置されている」「安全で効果的なワクチンが使用されないことは有害な結果をもたらしうる」と警鐘を鳴らしました。その後、停止がもたらす超過死亡の推計も出され、WHOの危惧が現実になろうとしていることも示されました。妊娠のタイミングで子宮頸がんと診断され、赤ちゃんを諦めざるを得なくなる女性も少なくありません。子宮頸がんがワクチンで防げるがんであることはもっと広く知られるべきでは、というのが取材しての率直な印象です。
明日の特集第2回は、HPVワクチンで予防できる、男性に多いがんがテーマです。稲葉先生が、丁寧にコメントをしてくださっているので、ぜひ御覧ください。
付け加えるとすれば、HPVワクチンは世界中で取り合いになっている現状があります。HPVワクチンは作成に技術が必要で、量産は思った以上に大変です。
そのため、そもそも9価ワクチンは貴重です。接種率が上昇していったとして、供給もスムーズであることを願っています。
▷子宮頸がんを予防するHPVワクチンが、入手困難になるリスクが高まっています
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20210831-00255943
なお、さまざまな副反応といわれていた症状に関し、大規模研究では『接種者と非接種者で差がない』という研究が数多くなされています。
ブログでは、2020年7月から10月にかけて、積極的に論文を翻訳して発信しました。
https://pediatric-allergy.com/?s=HPV