植田氏、物価上昇2%実現なら「政策正常化に踏み出す」
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植田先生の完璧な議会陳述(所信聴取ってなんか失礼な言い方なので別の言い方で)に、爽快を通り越してちょっとぼーとしてます。全党から全く批判がなくつつがなく終わられたのがさすがと言うほかない完璧なものですが、さらに言うと、学会からも全く文句がない答弁なのが感動的です。植田先生の説明はもっと学者的にも勉強になりますが、答弁という制約もあり、なかなか質問も標準的なものにとどまってしまうため、まだまだ学者的には伸び代がありますが、それでもついに日本も総裁の所信聴取が世界最高水準になったという意味で感動してnote に書きました。
https://note.com/nakaizum/n/nd5e7b9cdc296
以下個別に勉強になったこと。
1. 実は植田先生が審議委員時代の量的緩和と現在の異次元緩和の違いについて、2000年当時の量的緩和は、既にゼロ金利に近い短期国債とベースマネーといった代替性の高い財のオペレーションによる量的緩和になっており、効果が低いのに対して、現在は長期国債のような依然として金利がプラスになっている金融商品の購入によるオペレーションのため一定の効果がある。という説明で、非常にスッキリしました。
2. バブル以降の不良債権問題に加え、近年は、消費者企業が物価が上がらないことを前提とした行動が根付いており、それが物価を抑えてきたことが考えられる。現在はそれがやや崩れ始めている状態。
3.マイナス金利が地銀を中心に銀行収益を圧迫している懸念はあるが、適応されている金額を当座預金の極めて小さい部分に限定するなどの対策を講じている。その上で自己資本も十分でクレジットリスクは小さい。
4. 出口戦略において、所有国債の価格低下のリスクに対しては、引当金を十分積んできており、それで対処することが考えられる。
注目のコメント
これは裏を返せばまだ実現しない可能性を考えていることを意味している。最新の数値は4.2%。但し、携帯電話の料金強制値引きの終了における影響は無くなるので、それらを考えた際に2%を割り込む可能性などがあるなら、ここは注意しないといけない。
そして、短期では難しいだろうが停戦が実現した際にはインフレが収まる可能性は高い。あくまで今のインフレは外の価格が上がったことによる費用増が原因とする説が有力。国内の需要が高まっているとは言えないし、国内の費用増が大きいとは言い辛い。
それを思えば、2%が持続的とは確かに言い難い面はある。外が収まれば物価が上がらない社会に戻る可能性は確かにある。
ただ、正常化について考えていることを表明するのは重要。任期内に行う可能性がこれで分かったわけだから。コストプッシュ型でなく“健全な”インフレなら、ですね。
タイトルにあることは何回も言っていますし、すごく当たり前のことなのでサプライズでもなんでも無いです。
大企業を皮切りに賃上げが積極的に行われているので、植田さんの任期内で実現できたらデフレ脱却の出口として素晴らしいことです。まずは、YCCの解除→インフレターゲット2%のアコード撤廃→マイナス金利解除→ゼロ金利解除→政策金利引き上げ→バランスシート縮小(保有国債の売却)を任期5年でやるでしょうね。金融引き締めですね。