日米とオランダが合意、半導体製造装置の対中輸出規制-関係者
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国際的な輸出管理、規制対象の品目の選定とその技術水準の線引きが、各国間の交渉のポイント。私自身ワッセナーの規制対象の交渉に携わったが、この線引き一つで企業の競争力を大きく左右する。
今回先端半導体の製造工程のうちのチョークポイント(急所)を見定めての交渉。
いつの間にかニコンも入っているのが気がかり。
すでに中国は規制外のレガシー半導体、パワー半導体に大規模投資している。過剰生産にもっていって他国のメーカーを駆逐する、いつもの戦略のようなので、先端半導体だけではなく警戒感が広がっている。
日本の装置、部材メーカーに合弁での誘致をしようとしている。自前で作れるようになるのを急いでおり、日本企業からの技術取得を狙っているので日本企業は要注意。
自社だけいい思いをしようとして揺さぶられる、これまでの他業界での苦い経験を繰り返さないよう。
この件について寄稿記事書きました。
液晶から半導体まで狙うは日本の部材 中国の巧妙な国産化に警戒を (3ページ目):日経ビジネス電子版(この記事は2023年1月29日 16:40まで無料で読めます) https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00091/?gift=XRuK9%252F3X6sNqu0ciUhlNGV2hNejesLnE5yQP9gpieco%253D&n_cid=nbpnb_giftArF液浸の中国出荷が止められてしまうと45nm以降のデバイスに対応したFabが新規建設できなくなってしまうと思われます。一方でこれよりも古いプロセスについても市場としては十分大きくなくなる訳ではありません。
古い世代のプロセスを使ったデバイスは工場の減価償却がほぼ終わっているため価格が安いため、これから工場を新設しても投資対効果が見合わないケースが多くキャパシティの拡大が進みづらくなっています。
中国は今回の規制を契機にレガシープロセスのデバイスで覇権を握るような戦略に舵を切るかもしれず、装置・材料の国産化を進めることで競争力を高めてくる可能性もあるかと思います。『オランダ政府は、ASMLによる少なくとも一部の液浸リソグラフィー装置の対中輸出を規制する方針という』という言葉が気になる。
この装置を作れるのは、ASMLとニコンのみ。そして、ASMLは本件について下記のように反対のスタンスだったように見える。
組み合わせると「独自開発を招かない部分については、輸出できるように妥結した」のだと思う。何が独自開発できそう・できなさそう、という部分で、ASMLのは大丈夫でニコンのはダメとなったりすると、輸出競争上不利になる。
ちなみに、本件なくてもASMLの方がArF液浸ではシェアが大きい(=競争力がある)状態ではある。
米主導の半導体輸出規制、中国勢の独自開発招く-ASML
https://newspicks.com/news/8041889
実際に規制やその運用での競争不利は、工作機械で聞いたことがある。
兵器や関連技術の輸出規制であるワッセナー協約(旧COCOM(対共産圏輸出統制委員会)規制)というものがある。先端工作機械はこれに該当し、中国やロシアなどへの輸出について規制のリストがあり、該当しうるものは当局の貿易管理の確認などが必要。でも日本の管理は厳しく、ドイツは緩く、そこで伸びている中国市場で市場を取りきれていない、という話を聞いたことがある。