睡眠研究でブレークスルー賞をとった「大発見」
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柳沢教授にはIIISの設立前から何度か取材してきましたが、今回のインタビューではこれまでメディアには語られてこなかったエピソードを明かしてくれ、同席した広報の方も驚いていました。
たくさんのマウスのそれぞれにランダムな遺伝子変異を起こさせて観察し、睡眠や覚醒に異常の見られた場合に(より厳密にいうと、その異常が子に遺伝することまで確認した上で)原因遺伝子やその働く仕組みを特定する「フォワード・ジェネティクス」。マウスの数はなんと8000匹です。初めてこの壮大な実験について話を聞いたときは、規模の大きさに圧倒されました。たしか当時は、すでに異常のあるマウスがいくつか見つかっており、解析中だったのですが、その後、研究成果が続々と論文として報告されています。記事中でも、昨年12月にNatureで発表されたばかりの論文の内容が紹介されています。
もう一つ、忘れられないのが、IIISの新研究棟ができた時の記念式典で講演させていただいたことです。テーマは「STAP細胞問題から考える研究の倫理とリスク管理」。依頼された時は晴れがましい式典にふさわしい題材なのかと戸惑いましたが、柳沢教授からのリクエストでした。研究不正のない、クリーンな研究所にしたいという、機構長としての強い願いがあったのだと思います。式典後のレセプションでは、柳沢教授をはじめとする研究所のメンバーによるクラシックの演奏も。柳沢教授のプロ級のフルートの腕前に、またしても驚かされたのでした。「睡眠の科学」特集第2回は、睡眠研究の世界的権威、柳沢正史先生に単独インタビューを敢行しました。
柳沢先生は、大学院生時代に「エンドセリン」という血管収縮に関わる物質を発見。31歳の若さで、米テキサス大学にスカウトされて自分のラボを持つという、科学者としては異例のスピード出世をしています。
テキサス大でも、睡眠を維持する「オレキシン」を発見。その後も睡眠障害治療薬の開発に貢献し、ノーベル賞候補とも言われています。
そんな柳沢先生に、オレキシン発見までの秘話と「眠気のもと」に迫る最新研究について、語っていただきました。
今回は、NewsPicksサイエンスチームの連載「ディープな科学」との連動記事です。
「メディアに初めて語った」という、ライバル科学者との生々しい駆け引きも描写しているので、ある意味かなり「ディープ」な内容となっております。ぜひお楽しみください。「アメリカはそういう雰囲気がいいんですよね。(日本に比べると)研究者がみんな暇で、無駄話ばっかりしている。」もちろん優秀な人が集まっていることが前提だとは思いますが、まさにこの後述べられているようにイノベーションにおける「無駄話」が重要であることの好例です。無駄話はリモートで代替できない唯一のことではないかと思います。余裕がないとダメなのは言うまでもありません(無駄話を奨励する、制度を作る…なんて誤解されませんように)。