地域のデジタル街づくり、「実験ありき」7割で成果なし
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注目のコメント
実用化を取りやめた実証実験の理由で、「市民のニーズが少ない」「高齢者が多く利用が進まない」というものがあります。これらは実施前の仮説検証不足・顧客価値の目算が外れたといった、ある程度仕方ない部分もあるでしょう。
一方で、「ランニングコストを出せない」「公的援助がないとコスト負担できず」というのは、事前検討すればわかる話であり、あまりにもお粗末です。
デジタル田園都市国家構想推進交付金の昨年度採択案件の中にも、「ワンストップ型に拘り、総花で複雑すぎる」「ポータルサイトを地域のシニアが使いこなせるのか」と思われるものがあります。
記事中でコメントされている日本総研の船田さんと昨年お話しさせて頂いた際、「プラットフォームは沢山あるが、一番必要なのは住民とのタッチポイント。どの地方自治体も、それが垂涎のアイテムになっている」とのお話を頂きました。
「どんな機能がついているか」よりも、「住民が継続して使える・使いたいと思えるか」という点が、今一番必要ということです。この手の問題は既に各所で議論が尽くされていますが、改めてPDCAならぬPDになりがちなのは、仮説を立てないまま、「とりあえずやってみた」を実証と呼ぶことがまかり通ってしまっているからだと感じます。
仮説がないから、検証のしようがない。
新しい技術を「とりあえず触ってみる」のは、とても良いアプローチだと思いますが、その際は規模も予算もスモールスタートが効果的です。「期待した成果が得られない」ことや「外注」自体は別にいいのですが…その後続かないことが問題ですね。
協力してくれる企業もボランティアではないので、裏側にはもちろん目的があります。
「自治体連携による宣伝効果」や「補助金を使って“やりたい検証”の支出を抑える」といった目的が主なところでしょうか。
もちろん全てがそうではないですが、企業側としては「この自治体で続かなくても大きな痛手ではない」というケースもなかなか多いです。
なので自治体側も彼らの土俵に引っ張られないよう、“考えること”を丸投げしないようにする必要がありますね。
(これは自治体に限らずですが…外注したとしても“一番考えている”のは自分達であるべきです)
とは言え自治体職員も様々な業務を抱えなかなかその実証実験だけに集中するのは難しいところ。
こういった実証実験のコントロール役として、副業・兼業人材に活躍してもらうのはありなのではないでしょうか。
せっかくの外部人材が「あふれた業務の下請け先」になってしまっている、なんて話も聞きますので…。