M&A業務、裁量労働に 「専門型」20年ぶり追加へ
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働く側からすると柔軟性を確保でき、閑散期に無駄に仕事をしてるフリをする必要もなく制度としてはいいと思います。一方で、M&A業務の場合、ぶっ通しで1年以上8時間オーバーすることもあるので取り扱っている案件の種類によって事情は異なります(例:クロスボーダ案件で時差がある、出張を伴う)。よって、残業代が実質削られたということにならない様に、本人が周囲からのプレッシャーなどなく、本当に自由に選択できることが大事だと思います。
ものすごく違和感がある記事。
グローバルな基準からみれば裁量労働の最たるものであるM&A業務に従事するプロフェッショナルが、これまで国内ではその扱いを受けてこなかったということと、「専門型」の業務分野が20年ぶりに追加されたということに本当に驚きました。この20年と言わず10年で、世界の産業構造がガラッと変わって、新しい仕事がこれだけ生まれているのに、動きが遅すぎます。この際、厚労省は今の時代の仕事(忙しく生産性の高い仕事)をちゃんと調べて、制度の追いついていない部分を、網羅的にアップデートすべきではないか、と思います。
少し古い本ですが、かなりリアルな「裁量労働」の様子が書かれているので、
以下を読まれたらと思います。
「ウォールストリート投資銀行残酷日記―サルになれなかった僕たち」
https://amzn.asia/d/1eR9XvV工場労働や建設現場といった時間に縛られる仕事でも、恒常的な人手不足状態にある我が国では、報酬に見合わぬ過重労働を避けて転職する裁量を各自が手にして然るべし。ましてM&Aはたとえ会社勤めの形でも、各自の実力次第の商売で、ディール取った従業員が最後まで担当して稼ぎを会社と分け合うのが本来の姿です。年功序列で大したスキルを持たないサラリーマン、サラリーウーマンが行うべき仕事ではありません。そんな人物に担当されたら中小企業なぞは堪ったものじゃありません。
『やりたいこと』が仕事なら、寝食を忘れて働いても苦になりませんし、スキルと成果に適正な値段(≒報酬)がついて雇う側と雇われる側が対等の関係であれば、従業員は自ずと自らの裁量で働けます。頑張る時はとことん頑張るし、休みたいと思えば休めます。そうした人たちに時間規制なぞかけたら逆にやる気を落とし、日本の企業と産業の発展にとっても当人にとってもマイナスです。
恒常的な人手不足状態にある我が国で過重労働が起きる最大の要因は、一旦採用したら定年まで仕事と賃金を与え続ける義務を会社が負うのと引き換えに、業務命令で仕事と働く場所と働く時間を会社が勝手に決める権利を持つところにあるのです。そうなると、従業員は『やりたいこと』と『やらなければならないこと(≒仕事)』を自律的に一致させることが出来ません。やらされ感が強くなると労働が辛く疲れるものになりますし、仕事へのエンゲージメントが高まらず、うっかりすると病気にもなり易い。
そういう時は自らの意志で転職すれば事態が改善するはずですが、政府が雇用調整助成金を払って会社を保護し、労働契約法で会社を縛って解雇を防ぎ、裁判所が整理解雇の4条件で解雇を認めぬ我が国では、官製の職業斡旋と職業訓練が幅をきかせて民間の自由な職業斡旋と職業訓練の発達が阻害され、転職への公的支援が薄くなり、民間の雇用システムも転職を想定しないものになりがちです。これが従業員の自律的なスキルアップと働き方を阻害しているのは明らかなのに、そこに利権を持つ政府も関係業界も労働組合も中高年以上の正社員も頑なに変えようとはしないのです。
「多様な働き方」を阻害し「過重労働」を生む根本的な原因に目を向けず、こんな形で裁量労働の在り方をちまちま検討するばかりでは、変化の激しいDXの時代、日本の人材と日本経済の衰退は止まらぬように思います。