【塩野七生】日本は「失敗を許せる国」になれば没落しない
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紫煙をくゆらせながら、「歴史の女王」はたっぷり語ってくれました。
4時間に及んだ塩野七生さんへの独占ロングインタビューを、前編・後編の2回に分けてお届けします。
前後編に分けても、インタビューした全ては盛り込めていません。例えばこんな話題にも及びました。
日本滞在中は国会中継をまめに見ると言うので、差別発言が問題化していた杉田水脈氏への寸評を聞いてみました。
「あれはね、はっきり言って感受性に欠けているだけ。
思想信条や政策の問題じゃない。
感受性に欠けているから、他者をカテゴリーに当てはめて考える。
そうすれば簡単に答えが出るから。
自分を利口だと勘違いしているバカよ」
痛烈な評価です。
また杉田氏を政務官に任命した岸田文雄首相に対しても、
「任命責任を取った方がいい」
と辛辣(しんらつ)でした。
保守系政治家の守護神のように見られることもある塩野さんですが、
実際にはカテゴリーやポジションに捉われず、良いものは良い、悪いものは悪いと自由闊達に語れる人なのです。1000年続く文明には、寛容さ、多様性、明確な戦略がある。歴史を通じたマクロな視点で語る塩野さんの言葉から、リーダーが持つべき哲学や教養とは何かを考えさせられました。
塩野さんの冷静で時に残酷な分析からすれば、プーチンも、習近平も、トランプも一時的に地域を混乱させた1キャラに過ぎないということなのかもしれません。
最近、リベラルアーツの重要性が語られることが多くなってきましたが、塩野さん自身が教養の巨人であり、そしてそこで語られる英雄もまた、教養を通じて歴史を築いてきたたことがわかります。
環境の変化が激しく、10年先の未来すら予想できないと、思考停止に陥りがちでしたが、塩野さんの著作を本棚から取り出し、1000年先の文明をイメージしてみたいと思います。(年末年始最低限1冊は読むぞ!)現代日本は歴史から学ぶべきで、繁栄を続ける社会の特徴は、
・思想や言論が自由であること
・地位が流動的であること
・失敗に対して寛容であること
・異分子の存在を受け入れること
・外国の情報を収集し冷静に対応すること
と塩野さんは述べられています。
特に気になることは、戦後の日本は工業化を推し進めミスを嫌い、そのやり方で成功して最適化したために、挑戦と失敗を許容する文化や仕組みが弱まっていることです。
また、作業効率を求めて同質化を進めてきたため、異なる文化の人たちに不寛容な社会になっていると感じます。
この20年間はデジタル化によって競争原理が変化しています。
我々日本人は、過去の栄華にすがるのはやめて異文化を受け入れて果敢に挑戦しなければ、座して衰退していくことになるはずです。
強く危機感を持って事にあたるべきだと認識をしています。