【鳥嶋和彦】伝説の編集者が語る「ジャンプ勝利の方程式」
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ジャンプ作家の手前発言は控えようと思います。。
…が、漫画の魅力と威力を知り尽くした鳥嶋さんの半世紀に渡り蓄積された知見が詰まった当記事はアーカイブ級の価値があります。エンタメとは、読者と対面する事とは迷ったとき立ち返る場所を与えて下さって感謝。
と、いう事だけは言わせて下さいw
重みが違いますので必見です。新人賞による新人の即連載開始、アンケート順位による連載打ち切り決定、いずれも有名な「ジャンプ・システム」ですが、いずれも他のマンガ雑誌が模倣するようになりました。ただし、アンケートについては、少年ジャンプが圧倒的にサンプル数が多く、最も有効に機能しています(あと、ジャンプの特徴として、作家の専属化と専属料の支払いがあります)。
鳥嶋氏は、新人を見出すことについては、編集長就任以前、少年ジャンプの第1の黄金期(1980年代)に多大な功を為しました。鳥山明と桂正和の投稿原稿を見出したことです。
鳥嶋氏が編集長として功を為したのは、1990年代後半に始まる第2の黄金期です。『One Piece』(1997年から)、『NARUTO』(1999年から)などの連載が始まったのがこの時期です。
編集長としての鳥嶋氏の功績は、新人を見出したことではなく、メディアミックスを進めたことでしょう。少年ジャンプでアンケート上位に入り続ければアニメ化される、というのがマンガ界の常識になりました。加えて、『ドラゴンクエスト』に代表されるように、ゲームとマンガのメディアミックスを進めたことで、少年ジャンプの青少年文化における地位を盤石のものとしました。
インタビュー中で、マンガが現代文化の「共通言語」といわれているのは、鳥山明氏も大いに一役買った、メディアミックスが大きな理由です。
アニメもゲームも実写映画もテレビドラマもマンガが原作、あるいはアニメもゲームもマンガ化される、というメディアミックスには、博報堂も角川も大いに関わっていますが、その一角に集英社が食い込んだのは、やはり少年ジャンプあってのことであり、1990年代から早めに食い込んでいったのは、鳥嶋氏の画策あってのことでしょう。
この、マンガを基礎としたメディアミックスは、かなり日本特有のものですが、功罪どちらが大きいかといえば、やはり功でしょう。アニメ中心以外には、日本のコンテンツが世界中で消費される、という可能性は無かったと思います。エンタメ業界に限らず今の経営に対するいろいろな示唆があると思いました。例えば
「7割を外さないことには、3割の当たりを引けません」
イノベーションの原則かと。広告だって「半分は無駄だが、どの半分かはわからない」と言われるように。そして、最近これは組織の昇進・昇格にも当てはまるのではと思うようになりました。多くの組織は降格はないですが、やってみたらだめっていうことも普通にあるし、「絶対大丈夫」まで待っていたら時期を逃がしたり、辞めちゃったりするよなと。
「読者が逆に漫画家の中にあるものを発見してくれる」
これはまさにワークマンと同じ。ジョブズ氏が以前指摘したように顧客は必ずしも自分の欲しいものが分かっていない。ですから「顧客の声を聞いて商品を作る」のではなく「商品を作って顧客の声を聞く」ことが大事です。