ニッポンの給料が安い 、5つの理由
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キャリアの中で米国企業による日本の中堅企業買収、PMIに6年半携りました。消費財系です。たいへん苦労しましたが、平均給与は著しく上がりました(5割アップとか)。買収元(米国企業)の人事制度に合わせるのが基本方針だったので、給与を上げる前提で収益アップをしたとも言えますが…
強く感じた日本企業の課題は1)流通慣行によるムダな収益の流出、2)非効率なサプライチェーン、3)収益管理モデルの不在、の3つです。逆に外資系企業(特に米国企業)の強さも改めて確認できました。
雇用環境云々はありますが、1番重要なセンターピンは生産性、特に自助努力でどうにかなるという意味でもサプライチェーンの効率化だと思います。一部の先進企業を除いて日本はまだここにメスが入っていない感が否めません。マネジメント職にしろエンジニア職にしろ、ミドル層の給与が上がりにくいのは、どの企業も共通した課題感かもしれません。
必ずしもメンバーシップ型が給与が低く、ジョブ型は高いというわけではないと思いますが、日本においても今後、「スキル」と「市場価値」に紐づいた給与水準がある程度設定されて、緩やかに海外の水準にまで引き上がっていくことが予想されます。逆に言うと、スキルや経験が十分でなければ、給与は上がりにくいままです。
仮に人材育成や人材投資に積極的でない会社に身を置いていたとしても、これから必要なスキルや能力を見極め、自分に大きく投資していくことは決して無駄にはならないように思います。一般論として、本当に理由が5つもあるとすれば、それはほぼ解決困難なのと同じです。マジックナンバーにあわせて水増しされた理由が混じっているのではないでしょうか。ひとつを解決すると、雪崩れ式にどんどん解決するとすれば、理由は1つか2つに整理できるのではないか、と。
そして、私見では理由はひとつ。「日本市場の将来期待が低いから」です。金融政策がいまいち効かないのも、人材の流動性が高まらないのも、マインドが変わらないのも、これです。日本はもうダメだとみんな思っているから、投資が増えず、停滞してしまいます。
ただ、確定した事実もあります。日本は世界で最も高齢化しているので、20年後にはターンアラウンドを迎えます。そうなれば、マインドもがらりと変わるでしょう。それまでをどう凌ぐのか、というのが最大の課題ですね。
マクロとミクロは混ぜないで論じたほうがいいと思います。日本の問題(将来ヤバい)と個人の問題(給料安い)は、別次元ではないかと。次回以降に期待しています。