ウクライナ政府が医療用大麻の合法化へ法案提出 戦争によるPTSD治療などで活用見込む
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戦争と麻薬は深い関係にあります。戦争が始まると必ず麻薬の消費が増え、長びくほど増えていきます。
ソ連は、10年に渡るアフガニスタン侵攻で得たのは、財政の悪化と軍の退廃、数万人の麻薬中毒でした。
戦争と麻薬の関係は、1つには財源で、第2次世界大戦中の日本陸軍もそうでしたが、アフガニスタンやミャンマーも、麻薬は経済面で大きな要因になっていました。シリアなどは、10年以上の内戦の末に、麻薬経済で維持されるような国になってしまいました。
また、1つは、戦闘中の常用で、第2次世界大戦中には、日本軍でもドイツ軍でも、各種の覚醒剤の使用が広く行われていました。現在のウクライナでの戦争でも、これは見られます。
そして、1つが医療用ですが、大麻に限らず、ケシからつくるモルヒネなども多くの戦争で使われてきました。戦傷者の緩和ケアのみならず、PTSDへの対処として使われる、というのも多くの戦争で共通しています。
今回のウクライナの法案は、医師の処方のもとでのみ調剤されることになっています。今後、ウクライナでは合法、非合法を問わず、各種の麻薬の消費が確実に増えていくでしょう。その管理と摘発、中毒者への対処も、ウクライナ政府が負っていかねばならない多くの課題の1つです。
https://www.npr.org/2022/06/09/1103937143/ukraine-medical-cannabis-warこれまでもウクライナでは特定の疾患に対して医療用大麻は限定的に認められていましたが、記事にある政策は戦争以前から麻薬管理の厳格化を行うために検討されており、同時に「医療用麻薬」のバリエーションを「医療用大麻」を含めることによって増やし、目的にあった使用を促進しようというものです。
同国で使える医療用大麻は、同国で正規に薬事承認を得て輸入された医薬品を指します。戦争と麻薬というと資金獲得を連想させますが、今回の場合は戦争との関連性は必ずしも高くなく、軍事資金獲得としてはむしろ逆行する「(国民の治療のために)資金が流出」する政策です(医療用大麻が輸入で調達されるため)。
米国などの例では、症状緩和用途で知られる医療用大麻として、カンナビジオールと共に大麻の主な有効成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)を化学的に合成した合成THC製剤「ドロナビノール」について、がん患者の化学療法に伴う副作用緩和のための臨床試験で好成績だったため、米国FDAなどから認可を受けています。
また、カンナビジオールは他の薬ではコントロールするのが困難なてんかん性脳症である「レノックス・ガストー症候群」および「ドラベ症候群」と名付けられている希少かつ重度疾患に対して承認されています。他のより一般的なてんかんに有効か否かを結論づけるための研究は十分に行われていません。
戦争との関連においては、強力な鎮痛、鎮静目的の医薬品は他に鎮痛用麻薬(モルヒネ)がありますが、病院での手厚い治療が現実的でない以上、モルヒネも使いにくく、現実的に医療用大麻を許可したほうがメリットが大きいと判断しているのだと思います。戦争をきっかけとした薬物規制の緩和は諸刃の剣。傷ついた兵士を癒やすものになり得るが、同時に依存症が進み、社会荒廃につながるリスクも。それを上手く管理できるかどうか、ウクライナの対応が模範となるものになれば良いが…。