【解説】世界食糧危機がもたらす「破滅的」シナリオ
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すでにスリランカなどで起きていることですが、まず、
国際的な燃料、食料価格高騰
→貿易赤字拡大、通貨下落、対外債務増加
→インフレ、生活苦、暴動
というパターンが、アフリカ、中東、南アジアの諸国で起きます(トルコ・リラも、対ドルで昨年1番下がっていた時の水準まで下がりました)。
怖いのは、ここからさらにいくつかの過程が重なって、負のサイクルが加速していくことです。
まず食料生産国の輸出規制ですが、インドの小麦輸出禁止を筆頭に、アルゼンチンの大豆と牛肉、ガーナのトウモロコシ・コメ・大豆、インドネシアのパーム油、等々、すでに増えてきていて、さらに増えるでしょう。
次の負のサイクルとして、ロシアのウクライナ侵攻の小型版のようなことが、アフリカや中東で頻発するが考えられます。政権への不満や食料難を軍事侵攻で打開しようとする人々も出てくるでしょう。スーダン、南スーダン、エチオピア、ナイジェリア、ブルキナファソなど、紛争の中で食料を奪い合う事態が各所で見られます。当面、一番人が死ぬのはアフリカでしょう。
紛争
→食料生産の減少、流通の途絶
→難民の大移動
といったサイクルの加速が考えられます。
先進国が援助するべきですが、まず自国のインフレを抑えることに頭が一杯で、他国を支援するにしても、それはウクライナに向かい、1000万人を超えるウクライナ人避難民の生活も保障しなければなりません。
アフリカや中東への援助を増やそうという国は、限られるでしょう。
世界で輸出規制広がる 食料高騰に拍車も
ウクライナ侵攻以降、小麦・トウモロコシ・食用油などを規制する国が続出
https://jp.wsj.com/articles/export-curbs-spread-globally-adding-to-food-inflation-pressures-11653518687?mg=prod/com-wsj海外危機管理の仕事をしていますので、紛争・テロや暴動など海外で活動されている方々の安全にかかわる事象を継続的に追い続けていますが、昨年から今年にかけて、海外にいる日本人が国外退避を余儀なくされる事案が記録的に頻発しました。
昨年2月にはミャンマーで軍事クーデター、8月にはアフガンでタリバンのカブール奪還、11月から12月はエチオピア内戦。今年に入ってからもウクライナ、ロシア、スリランカと国外退避が必要な事案が続いています。
長年この仕事をしていますが、海外にいる邦人がその国を出なくてはならなくなる事態というのは、めったに起こるものではなかったのですが、最近では数か月に一度の頻度で国外退避オペレーションが発生するという異常な状況が続いています。
ウクライナ戦争に起因する食糧危機がさらにこの状況を悪化させるだろうなと注目はしてきましたが、この記事は今後「途方もない試練」が待ち受けているだろうことを説得力を持って解説しています。
これからは「異常な状況」が常態化してしまうのか、と気が重くなりますが、注意深く情報を追い、危機に備えたいと思います。日本ではカレーパンが250円から290円になっただけでも、大騒動です。
小麦価格上昇から考えると、40円の値上げは妥当であり、この価格に抑えられているのは企業努力だと思います。
日本では、世界の食糧危機については、ほとんど報じられません。
『世界が「われわれの時代における最大の食料危機」に直面している』ことを理解している日本人は多くないと思います。
そこが日本の課題だと思います。