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ビヨンド5Gで注目の通信資源「未踏テラヘルツ帯」研究の世界

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    東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授

    まず前提として,テラヘルツ波も電磁波なので,wifi等で使っているマイクロ波の周波数をどんどん上げていったものであり,可視光や赤外線まではいかないあたりの帯域のものです.面白いのが,周波数が低い側のマイクロ波や,高い側の可視光はすでにガッツリ通信などに利用されているのに対して,その間のテラヘルツ波が未踏の領域として残っているというところです.これはなぜか?

    同じ研究室の後輩がテラヘルツ波の研究をしていて,いろいろと教えてもらったので,その面白さを一部ご紹介しようと思いますが,マイクロ波をやり取りしようと思うと,普通はアンテナを使って送信し,回路内では電線で伝送します.つまり,金属を利用するわけです.
    一方,光の場合には,半導体を使って生成し,光ファイバのように誘電体を使って伝送します.低い周波数と高い周波数とで,金属を使っていたところから半導体や誘電体(絶縁体)を使うところへとシフトするんですよね.
    この一つの要因としては,表皮効果という効果がありまして,周波数が高くなると金属の抵抗が大きくなってしまうため,金属を使えなくなっていくことが効いているのですが,では,テラヘルツ波ではどうなのか?というと,アンテナを使うには損失が大きいし,一方で半導体技術でレーザのように光を出そうとするにはエネルギー準位が低すぎる,ということで,安定的にテラヘルツ波を効率よく出すところからして大変なのだそうです.(近年それが改善されているとのことですが)ということで,未踏の領域としてまだまだ残っているということのようです.

    テラヘルツ波をメタマテリアルとかの観点で考えると,波長がいい感じの長さなんですよね.メタマテリアルというのは,波長よりも小さい構造物を並べて,マクロな視点から見たときに,通常の物性ではありえない特性を持ったマテリアルに見えるようにデザインする,というものです.テラヘルツだと波長が1mmとかそれくらいなので,構造物を作るのにちょうどいいサイズ感になるのです.(可視光だと100nmとかそれくらいの構造物を作らなければならないのでそれに比べたら簡単さが違います)


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    東京大学 大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 教授

    単に周波数を高くするだけ、その様に思われるかもしれません。

    第二次世界大戦前は、いま携帯やテレビで使われているVHF/UHFどころか、短波帯 (HF: 1-30MHz程度)ですら使い物にならないと思われていたことをご存知でしょうか。一般的に高周波になるほど回路設計が複雑になります。VHF/UHFが使い物になるとわかったのはその領域に追い出された素人のアマチュア無線家達でした。話がそれたので元に戻します。

    皆さん、理科や物理で波長という概念を習われたと思います。周波数の逆数を取るやつです。30GHzの信号の波長は1cmです。実はこの波長が重要で、波長と同じくらいのものは理想的な伝送路であるとみなせなくなります。どういうことか。通常は配線があったら、抵抗0、その他の成分も0の理想的な電線とみなしますよね。ところが、波長と同じくらいの配線は抵抗もキャパシタンスもインダクタンスも0でないという分布定数回路を考えないと正しく動かなくなります。すなわち、30GHzの信号にとってみれば1cmの配線は単なる導線ではなく、抵抗でもありキャパシタンスでもありインダクタンスでもあるのです。そのため、配線ですら特別な計算が必要になります。それ以外にも高い周波数の信号を発生させるためには出力回路も特殊なものが必要となります。

    唯一の利点は波長が短くなるのでアンテナが小さくできることくらいでしょうか。ラジオ局や自衛隊の無線局のアンテナが非常に大きいのは周波数が低くて波長が長いからです。

    なので、高周波はとても難しく、実は高周波回路の設計ができるアナログ回路エンジニアは引く手あまたです。ちなみに、以上の議論は信号と配線の長さの相対的関係で記述されます。なので、我々がコンセントで使っている50Hz/60Hzの信号ですら、県外から長い送電線で引っ張ってきているときには同じ議論が必要です。

    ああ、4月になったらまたこの内容を講義で教えないと。ワクワクしてきました。


  • 技術営業 機械

    高周波領域の開拓は、まず分布定数回路で考えたのち、材料や加工の進歩から小型化が進んで集中定数回路へ置き換えることを繰り返してきました。集中定数回路は設計が比較的容易で、通信機器のバリエーションを増やすのに大きく貢献しました。

    たださすがにテラヘルツでは、1mm以下の配線でも分布定数で考えねばならず、配置を見直すだけでも大仕事になります。バリエーションを増やすよりは同じ回路を他の製品にも使い回す、外乱に強く再現性が高く、汎用性に優れた回路技術が求められるようになってくると考えられます。


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