【作家・水村美苗】日本人は、言葉のパワーに無自覚すぎる
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記事の大半は同意ですし頷けるものでしたが(細かい点ですけれども)
下の部分だけ、特に沖縄に言及された部分に憤りを感じました。
>日本人は、これまで、日本語の読み書きを禁じられたことがありません。アメリカの占領下にあった沖縄でも日本語の読み書きは禁じられなかった。
沖縄の人々の言葉、琉球語(より正確に言えば琉球諸語=奄美語、国頭語、おきなわ語、宮古語、八重山語、与那国語)を禁じたのは日本です。
大日本帝国陸軍の命令を伝える1945年の球軍会報は、こう指示を出しました。
「爾今(じこん)……標準語以外ノ使用ヲ禁ズ」
「沖縄語ヲ以テ談話シアル者ハ間諜(かんちょう)トミナシテ処分ス」
つまりそれ以前の強制的な皇民化教育に加え、島言葉で話し合ったらスパイとみなして殺害する、と言っていたわけです。ウクライナ語を使うな、と言っていたロシアと同じです。
もともと日本ではないのに日本・米国の統制下に置かれた歴史を持ち、言葉を失うことを余儀なくされた琉球地域を引き合いに出して、「日本人はこういう目に遭ったことがない」という例に使うのは、言葉のスペシャリストとしてあまりに配慮が欠けていると思いました。
注目のコメント
この本『日本語が亡ぶときー英語の世紀の中で』は、ぜひ読んでほしいです。NYで育ったバイリンガルの作家である水村美苗さんが、世界中が英語という「汎用語」に覆われる時代について、日本など英語を母語としない人たちがどのような課題に直面するか、非常に深く洞察した1冊です。
そもそも人類の知識などは、ラテン語であったり、漢語であったりと、ユニバーサルな言葉を通して蓄積された歴史があり、多くのローカル言語をもつ人たちは、そうしたユニバーサルな言葉を通してしか、知識や科学にアクセスできなかった背景なども描いています。
その上で、素晴らしい文学なども生むようになった日本語の稀有さと、国際プレゼンスや知識をあつかうための英語という、2つの世界を往来しなければいけないという、21世紀の生き方について示唆に富む内容になっています。部分的にいくつか例外はあるものの論旨としては概ね、大いに賛同しました。
よく英語ができなくても海外でなんとかなる、とか、言葉が問題ではない実力や真心があれば通じる、とか、海外ビジネスの現場で言われる。が、従前それらの意見は極めてアマチュアだと考えている。英語が使えないものは海外ビジネスでは使い物にならない、これが不都合な真実。
ビジネスを学問や政治やサイエンスに置き換えても同じである。それが本稿の論旨と見受け、大いに賛同する。
つまり、日本人全員が英語話者になる必要はない。公用語化には私も反対。義務教育でやってもいいが、やらなくてもどちらでも良い。問題は「エリートがしやべれない」事。これじゃ国力は衰退の一途である事は論理必然という話。アメリカ人が、学校でスペイン語を学んでもスペイン語ができないのと、日本人が義務教育で英語を学んでも出来ないのも、同じです。英語を学ぶ理由、必要性、モチベーションをしっかり伝える教育体制がないと、英語人口は増えないと思います。
私の場合は、元々英語は好きであったものの、学生時代で学ぶ英語はジャパニーズイングリッシュであり、典型的なパターンでリスニングとスピーキングは散々でした。初めて社会人になった時、日本社会で女性が働くことの難しさを目の当たりにし、自費を貯めて、留学をすることを決めました。必要性に直面したからです。
英語のお陰で、グローバルな仕事が出来ますが、グローバルに視野が広がるほど、いかに日本での英語人口が少ないかに気づきます。英語が出来ると、仕事の可能性も選択肢が大幅に増えます。ジョブ型へ大きくシフトしている今だからこそ、英語は最大の武器の一つです。英語という可能性の扉を開けてみてください。