【解説】中国の「台湾統一シナリオ」を論理的に考えてみる
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中国とロシアのゆるやかな同盟関係は、現代の三国軍事同盟のようなところがありますが、あまり機能しません。
1941年の日本とドイツが必ずしも利害を共有していなかったように、中国とロシアも共有している利害は限られます。何となく米国に対抗するために同盟してしまったような関係です。
1941年の時点でも、経済的には、日本にとってはドイツよりも米国の方がはるかに重要でした。経済的な利益を重視するなら、ドイツなどより米国との関係改善がはるかに合理的でした。政治は、そうは動かなかったりします。
1941年にドイツがソ連に攻めこんだのも、日本にとっては晴天の霹靂でした。日本のつもりでは、ドイツ、ソ連、日本が一丸となれば米英にも対抗できるという考えだったので、「複雑怪奇」で、ドイツは困ったことをしてくれた、という風に日本の視点からは見えたでしょう。
現代の中国についていえば、ロシアにウクライナを侵略してほしいなどと頼んでいないし、迷惑なことでしょう。ロシアが経済的な窮地に追いやられるのは見えているし、中国がロシア経済を支えてやらざるをえません。
中国の経済は、余裕があるどころか、すでに十分危うい状態なので、ロシアの暴走は、本当に迷惑でしょう。
そもそも、中国の経済にとっては、ロシアなどより米国の方がはるかに重要なので、ロシアなどに肩入れすることで、米国市場から追い出されるようなことになっては、全く割に合いません。
中国にしてみれば、経済力と海軍力で今よりもさらに優位に立ってから、南シナ海のシーレーンを封鎖して、台湾や日本に屈服を迫ればいいことなのですから、ロシアの暴走などでシナリオを狂わされるのは本当に迷惑です。
ロシアにしてみれば、軍事力で現在よりも優位に立てるような経済力も技術もないので、今やらなければジリ貧になる、という強迫観念があって暴走に至ったのでしょう。
そんな落ち目のロシアにどこまで付き合うか、切り捨てるのか、中国は判断を迫られています。ある程度は付き合わざるをえないでしょう。台湾情勢が動くのはいつなのか、というのが日本人にとって大きな関心事ですが、実は中国は「その時」を明確に決めてないのかもしれません。習近平は最も「やりやすい」外部環境が整うのを待っているのでしょう。
有事は全く望みませんが、数年周期で変わる民主主義国のトップに対して、トップに居座り続けられる権威主義国の構造的な優位を感じざるを得ません。比較的長いですが、重要な知見が盛りだくさんで、最初から最後まで読むべき記事です。むしろ、これだけの情報量をコンパクトにまとめた編集者の手腕に感謝。
習近平に「歴史に名を残したい、偉大なリーダーになりたいという野心がある」というのは、最近特にハッキリ感じ取れるようになってきた事柄ですが、
その手段として、3選どころか4選でも5選でもして待ち続け、アメリカに「トランプの亜種のような内向きの大統領が誕生」したタイミングで台湾の「平和的」併合を行う、
というのは、まさしくナルホドと思わせる戦略です。
独裁と民主主義の違いをうまく利用した構想ですね。そして今後は、アメリカ大統領選挙への中国の干渉にも注意を払う必要がありそうです。
以前掲載された川島先生のインタビュー記事でも、台湾併合は長期的に段階的に進められるだろうと述べられています。
https://newspicks.com/news/6499601/body?utm_medium=urlshare&invoker=np_urlshare_uid7465205&utm_source=newspicks&utm_campaign=np_urlshare
そもそも、無理やりゴリ押しで統一したところで、中台双方に大勢の死者を出し、国際社会との対立で疲弊するのですから、歴史には汚名を残しかねません。
やはり理想は、辛亥革命のように無血で達成することなのでしょう。