ジョブ型雇用になれば、社員は「3つの階級」に分断される
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本記事はジョブ型雇用に対する非常に表面的な理解に基づく論考だと思います。
ジョブ型雇用の本質的な利点はスキルに基づいて人材の価値が決まるという原則であり、どのようなスキル・経験が求められているのかということが明確になっていくということです。そうすることで今までは年次や社内政治などの非合理的な基準に基づく待遇や肩書きなどを合理化し、能力のある人が評価されるという原則をカルチャーとして根付かせることにもつながります。
この記事ではそのようなジョブ型雇用の根本的な価値を全くとらえておらず職務の階級化や階級間移動の難しさなどに言及していますが、それこそまさに日本において「総合職 vs 一般職」「プロパー vs 転職」「正規 vs 非正規」「男 vs 女」などの能力と乖離した分断が生み出す構造そのものです。別にアメリカスタイルのジョブ型雇用が良いなんて誰も言ってないと思うし、日本がそれに変わっていくとも思いません。
EU型のジョブ型が日本には比較的あっていると思います。
学歴が影響するのは変わりませんが、労働時間が長いのは評価されませんし、休まないこともマイナス評価です。
一言でジョブ型だと、格差が開いて、路頭に迷うサラリーマンが溢れると煽る方々が多くいますが、そうならないようなトランスフォームを企業が考えれば良いと考えています。
世論の不安を無責任に煽るのは誰でも出来ますが、そう言った輩は世の迷惑でしかないと私は考えています。メンバーシップ型はダメで時代遅れ、海外のスタンダードであるジョブ型を導入したらハッピーになると思っている人にはぜひ読んでほしい記事。
結局雇用制度や慣習は、かなり複雑なエコシステム。それも良い悪いは置いといて歴史的な背景も大きい。たとえばアメリカで人基準のメンバーシップ型が機能しないのは差別の問題。アメリカで年齢差別ということで定年制が禁止されているのに日本で正当である理由は解雇規制の厳しさゆえ。
※追記
プロピッカーのシバタアキラさんの書かれている
「(ジョブ型=)能力のある人が評価される」
がまさにそうで、これはTheメンバーシップ型の発想なんですけどね。
このように勘違いをしている(一方の側面からしか見ていない)人は多いと思います。
・能力に対して適切に報酬を払うための仕組みがメンバーシップ型(職能主義)
・仕事に対して適切に報酬を払うための仕組みがジョブ型(職務主義)
だから例えばそのチームのマネジャーになれる「能力」のある人が二人社内に居たとして、でもマネジャーは一人で十分。だから一人はマネジャーになってマネジャー相当の給与を得る。でももうひとりはマネジャーには慣れなくてメンバーとしての給与を得る。これが職務主義。
メンバーシップ型、職能主義だと「いや、あいつもマネジャーになれるくらい能力があるのだから、給与は揃えてあげよう。」ということでそれっぽい役職を作ったり、部下無しマネジャーというポジションを与えたりしながら給与をできるだけ揃えようとする。これが能力主義。
ただ当然能力主義にも大いに問題があって、現在の日本の能力主義の根っこにあるのは年功主義だったりする。職能資格制度の発明者である楠田丘さんの本には「1年生→2年生と昇格し、能力が上がっていく。そして5年生が4年生に下がることはないように、職能等級も基本的に下がることはない」としている。さすがに変化の激しいこのご時世、それは無理があるよねとか。
シバタさんの書かれている
「ジョブ型雇用の本質的な利点はスキルに基づいて人材の価値が決まるという原則」こそ(そういう側面があることは否定しませんが)、多くの日本人が抱いている幻想とも言えると思います。