【最新解説】なぜビジネスパーソンにSFが必要なのか
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今日から6日間、「SFが未来をつくる」をテーマに特集を展開します。
1回目の今日は、SFが社会に与えてきた影響(Part1)、SFが今注目される理由(Part2)、そしてSFをビジネスに活用する最近の試み(Part3)について、インフォグラフィクスでご紹介します。
自分が思っていた以上にSFは「今」、そして「未来」に影響を与えているのだと実感する取材でした。
個人的にはこれまでもっぱら、仕事を離れた純粋に楽しむための読書としてSFに親しんできました。
(最近では、邦訳版がついに完結した『三体』が最高でした!)
でも、作品のベースになるサイエンスやテクノロジーについての知識が深まったり、考えさせられたりと、期せずして「ためになる」読書体験が多かった気がします。
今回の特集もSFのように、楽しみつつ学べる内容にできたら、と願っています。日本には、50年後に備えた事業に大きな予算をとれる組織はありません。政府も、企業も、研究ですら、50年後の技術や世界の変化を想定した事業に大きな予算をとっているところなどありません。
日本の人口が半分になるのに、80年もかかりませんが、その時を想定した準備すらほぼ全く進められていません。
日本にあって、50年後、100年後のことを想定して、好きなように世に問うことができるのは、SFだけでしょう。最近は、マンガやゲームでも可能ですが、その中にある未来は、SFの派生物といえます。
SF作家のアーサー・クラークは、1945年に人工衛星を利用した通信技術についての論文を発表しています。人工衛星が実現したのは1957年、地球との間で電波を送受信できる人工衛星が初めて打ち上げられたのは1962年、1963年にはケネディ大統領暗殺を世界中に実況中継しました。
クラークがその作品で描いた様々な技術のうち、軌道エレベータなどはまだ実現していません。SFで描かれた技術が、研究のアイディアを示し、後に具体化される、ということはあります。
論文では書けないことや、論文にしにくいこと(実験で検証できないこと)を書いてみたい時に、SFという方法があります。
アイザック・アシモフも、ボストン大学の生化学の教授でしたが、彼が書きたいことも、論文では書けないことだったのでしょう。『ミクロの決死圏』とか『ロボットと帝国』とか、論文で検証しようがなかったでしょうが、技術の未来としては、そこまで荒唐無稽、というわけではないです。SFが科学者だけでなく起業家に対しても与えた影響は計り知れないと思います。「日本の科学力が落ち気味なのは、次の鉄腕アトムが生まれていないからだ」という人もいるぐらいです。ただ、だから「読むべき」というのは本末転倒かと。最後に指摘されているように、「心躍る」ことから全ては始まるはずで、「これ読んだらいいことあるのでは」という視点では想像力が広がるとはとても思えません。