【トップ直撃】ロッテ、Bean to Barのチョコメーカーを買収
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ロッテのDari-K買収は、日本企業の本格的なSDGs経営の第一歩と評価できる。私は常々、日本のサステイナビリティ議論にCreating Shared Value(共通価値の創造)という概念が不足していると指摘している。これは、ネスレの会長・社長を歴任したピーター・ブラベック氏がダボス会議で提唱した後、戦略論の世界的権威者であるマイケル・ポーター教授が世界的に広げた概念で、「企業の果たすべき社会的課題の解決は、その企業の戦略に落とし込むことで持続的な活動となりサステイナビリティ活動として根付く」というもの。ネスレは、世界一カカオ豆やコーヒー豆を原料として買い付ける世界最大の食品企業として、農家に毎年数100億円規模の支援をして、農家の経営と収穫量を向上させる支援をしている。その見返りとして、直接的原料買付けの優位的権利を得ることで、原料買付けにおける競争優位性を戦略的に保持する。
その意味で、ロッテ社にとっても単なるフェアトレード認証を得たカカオ豆を原料に使用するだけでは競争優位性を持てないため、Dari-K社を傘下に入れることで、生産農家を巻き込んだサプライチェーンを手に入れ、CSVを取り入れたサステイナビリティ活動を展開出来ることは大きな意味があろう。Dari-K社にとっても、規模の拡大によるサプライチェーンコストを下げるメリットを得ることでWIN-WINの関係だ。日本でも、スタートアップ企業の大企業による買収によるEXITが増えるきっかけになればと期待したい。吉野さんとは栃木県足利市の同郷。足利市出身のスターのひとりです。知り合ったのは2016年のダリケー主催のインドネシアカカオ農家ツアー。ジャカルタでの取材に合わせて参加し、スラウエシ島まで行きました。マカッサル空港(マカッサルはインドネシア有数の大都市)からさらに、車でポレワリという街まで行き農家の視察。参加者は学生から大学教授、写真家、会社員、政府系機関職員まで多様なメンバーでした。しかも、インドネシア専門家の松井和久さんのガイド付き。本記事にあるVlog動画がまさに現地の様子です。
吉野さんとダリケーの社員の方々の熱意と、その熱意を理想だけで終わらせないビジネスモデル、そして地元還元の仕組みを作ろうとする試みを見せて頂きました。インドネシアの農家の方の話を直接伺い、カカオ農業をどうサステイナブルなものにするのか、次世代がよりよい暮らしにするためにはどうするか、考えさせられました。
農家の人たちからカカオを購入するだけでなく、農家の人々を大切なビジネスパートナーとして信頼関係を構築し、かつ、より豊かになるところまで二人三脚で行動するということは、なかなかできる事ではありません。
カカオ/チョコレート業界のサステナビリティについては、下記の記事にまとめています。吉野さんにも全面的なご協力をいただき、すなださんのグラフィックスで複雑な事情が分かりやすく表現されてます。本インタビューとあわせて、是非、お読み頂ければと思います。
【教養】そのチョコをかじる時、裏側の「真実」を学ぼう
https://newspicks.com/news/5068664
京都のお店で飲んだカカオドリンクの味。濃厚でありながらもすっきりした味が未だに忘れられません。
ちなみに、Dari Kは、インドネシア語。「Kから」という意味。スラウェシ島はKに似た形をしています。バレンタインが近づき、チョコレートの取り扱いが増えるこの季節。みなさんはチョコレートを選ぶとき、何を基準に選びますか?最近はフェアトレードなど生産者・環境に配慮した商品も増えてきましたが、あまり高いと頻繁には買えません。
美味しくてサステナブルなチョコを、もっと身近にするにはどうしたらいいか。ロッテ・Dari K両トップにお話を聞きました。インドネシアでのカカオ豆調達や、セブンイレブンでの販売エピソードなど、「頭」に訴えかけるだけでは効かないのだなと考えさせられました。