日立製作所、全社員ジョブ型に 社外にも必要スキル公表
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注目のコメント
遅ればせながら感はあるけど期待します。
大手企業の動きは、変われない多くの企業の変革を後押しします。基本的にフォロワー気質が強い企業ばかりですからね。
変わる制度を受け身でとらえるのではなく、一人ひとりが認識を変える必要があります。
OX(おじさんトランスフォーメーション)にもつなげてほしい。取締役も逃げきれるから自分は関係ないなんて考えないように。欧米のJOB型雇用は流動的な雇用市場、つまり、従業員が自らのスキルが活きる会社に容易に移動できる雇用保障の仕組みとセットです。一方日本では、中途採用市場が拡大して多少状況は改善しましたが、雇用調整助成金、持続化給付金といった補助金で業績が悪化した企業を保護し、解雇規制で従業員を解雇させないことが今なお雇用保障の中心です。
JOB型雇用の土台である雇用の流動性が乏しいことは、コロナ禍の中で明確に見えました。新型コロナウイルスが襲った一昨年の春、米国では失業率が4%から15%に駆け上がり、仕事の減った企業から仕事が増えた企業への人材移動を伴いながら下がって行きました。日本では失業率は殆ど上がらず、一気に増えたのは6百万人、失業率に換算して10%に当たる社内失業状態の休業者でした。その多くは、残業を減らし、賞与を減らし、出向先を捜すといった“努力”をして元いた会社が吸収して行きました。
製品のライフサイクルが長くカイゼン・擦り合わせが威力を発揮する時代には、年功序列終身雇用が生み出す社内ノウハウを共有してコミュニケーションの良い人材が重要でした。しかし、目新しい製品、斬新な生産・販売方法、画期的な原材料、事務処理方法といったものが短いサイクルで次々登場する時代には、環境変化に応じて事業の方向性を明確に定め、事業戦略の遂行に必要な尖ったスキルの人材をJOB型雇用で柔軟に揃えることが重要です。ジョブディスクリプションを明確に示し、それに合う人材を登用するのはそのためです。
事業の方向性が変われば必要なスキルセットも変わりますから、働く側も自分のスキルが活かせる企業を自由に選ぶ雇用保障の仕組みがないと、行き詰ってしまいます。JOB型雇用が日本に本当に根付くためには企業側の努力のみならず、助成金で企業を守って解雇させない雇用保障の仕組みを政府が抜本的に見直して、企業に柔軟な人員調整を認めるかわり過剰な保護もせず、企業を離れた従業員を手厚い職業訓練、充実した職業斡旋、十分な失業給付といったもので直接守る方向に切り替えることが肝要です。ところがこれらは補助金の予算、それで保護する企業群、ハローワーク、職業訓練所といった官の利権が大きく働く領域です。どこまで変えることができるのか。政府が本気で賃金を上げようと思うなら、そこに切り込んでJOB型雇用を後押しする覚悟が必要です。「働き手にとってはスキルの向上が重要になる。」はあ、という感じです。いずれにせよ、組織もそうですが、分けることは簡単で、つなぐことが難しい。多くの企業で強調される多様性は、ジョブ型の特徴である専門性を超え、協力することがなくては機能しないはずなので、むしろ次のステップに興味を持ちます。