『T-34戦車とその時代 「第2次世界大戦最良の戦車」はいかに生まれ、どのように語られてきたか』
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露木好史/佐々木智也『T-34戦車とその時代―「第2次世界大戦最良の戦車」はいかに生まれ、どのように語られてきたか』(佐々木書店、2020) - 歴史同人 佐々木書店 - BOOTH
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今でもロシア人に人気のあるT-34。エンジニアが長い歳月をかけて、ちゃんと動くようになっていく過程を描いた動画も公開されています。
そしてデザイン的にも優れているT-34は、日本を含む世界各国のスケールモデラーの間でも人気です。歴史考証を始め様々な議論が、なるべく正しい解釈のもとで作ろうと努力するメーカーの目にも止まり、商品の製作にも反映されているようです。
さてこの書籍、私は無料立ち読み版の一部しか読んでいないのですが、ちゃんとお金を払って紙の書籍を購入した人の話によりますと、「欧米の文献のみに頼っていると、単純な間違いや、バイアスに影響された解釈の歪みが生じてしまうことがある。著名な人の意見の、この部分がこう間違っている、という指摘が少なからずある」ということのようです。その著名な人というのが、素人の私でさえ存じ上げているお二方でしたのでびっくりしました。きっと、ロシア語で書かれた文献を丁寧にあたっていくことでしか辿り着けない場所というのがあるのでしょう。
私を含め多くの人々は、スッキリしたい気持ちを持っています。単なる相関関係を無理に因果関係に結びつけたり、勧善懲悪の世界を求めたりしてしまいます。世の中は多様で、わからないことの方が多いのに。
「まだわからないことを、わからないままにしておかず、想像で埋めることの危険性」に敏感であらねばならないことを改めて感じた次第です。
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『戦闘技術の歴史』第五巻「東洋編」(創元社)日本語版監修者序文「本書は、アメリカの軍事史家五名による共著・・・これほど幅広い対象を一書で通観できる意義は大きい・・・なお日本史についてもよく把握していますが・・・通説や俗説が入りこんでいるところもある・・・本書においては、原著の論旨を損なわない範囲で、史実や研究状況に合せた補訂を全体にわたって施しています」(杉山清彦)