【問題】GDPが増えても、なぜ私たちは幸せになれないのか?
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GDPと生活の豊かさには、明らかな相関があります。
しかし、GDPを増やしたから生活が豊かになるわけではありません。
例えば、肺活量と身長の関係を考えてみるといいと思います。
子供から大人になる過程では、肺活量も身長も伸びるので、ここには正の相関があります。ところが、大人になって、トレーニングして肺活量を増やしても身長が伸びません。
経済についても同様です。
分業の発達により、経済は発達します。
内部で抱える問題解決を、お金を支払って外部に求めるようになってきたとも言えるでしょう。
米を自分の家で栽培せずに、農家から買う。おにぎりを自宅で作らずに、コンビニで買う。
抱える内部の問題がたくさんあるうちは、どんどん外にお願いするので、どんどん分業はすすみ、効率化され、生活の豊かさは増えます。この過程においては、GDPと生活の豊かさにはもちろん相関関係はあります。ここで大事なのは、生活が豊かになる結果として、GDPが増えるということです。
十分生活が豊かになった現代(平均的な生活の話であって、格差の話は別の議論です)では、分業によって生活が豊かになる余地は減っています。つまり、GDPは伸びにくくなっています。
すると、どうやってGDPを増やすのかという議論が起きます。例えば、オリンピックでたくさん競技施設を建設すればGDPは増えますが、生活は豊かになったのでしょうか?生活が豊かになる結果としてGDPが増えることはあっても、GDPが増える結果として生活が豊かになるわけではないからです。
GDPと生活の豊かさに相関はあります。しかし、その因果関係を考えなければ、経済の目的を見失ってしまうと思います。
注目のコメント
「幸福」を感じる要素としてよく言われる4つは、なりたい自分への成長=自己実現、自分らしさ、楽観的、そして人との繋がりです。「人との繋がり」は、特に大切な要素だと思います。
不安な時代になるほど、人との繋がりは求められますし、人との繋がりで、色んなことを学び自己成長も導いてくれる。そして、何より心と身体の健康へも繋がります。変化が多い時代だからこそ、人と人の繋がりは、大事だと痛感します。本書の結論は「みんなで子どもを育てる」。最初は「え、その結論?」と思いましたが、読めば読むほど、納得のいく答えだと感じました。ぜひともそこに至るまでの論理的道筋をお楽しみください。
各国の一人当たりGDPと(自己申告による)幸福度をグラフに描くと、明確な正の相関があることが知られています。
https://ourworldindata.org/grapher/gdp-vs-happiness
つまり、GDPの増加は国民を幸せにします。これが大前提。
その上で、二つ忘れてはいけないことが。
第一に、上記の現象はあくまで平均であって、GDPの増加が全ての国民を幸福にすることはないし、なんなれば大多数の国民を幸福にするとも限らないこと。つまり「取り残された人々」についてこの結果は何も語っていないということ。
第二に、あまりにも当たり前ですが、幸せの要因はGDPだけじゃない。家族、健康、生きがい・・・・。他の全てがそのままでGDPだけが増えるなら、国民はより幸せになるでしょう。ところが他の何かを犠牲にしなくてはGDPが増えないなら、それは全体として幸福度を増大させていないかもしれません。
好例がコロナです。
アメリカはコロナ前に比してGDPは増大したが70万人が死んだ。
日本はコロナ前に比してGDPは縮小したが死者は2万人以下。
アメリカの方が幸福だと言えるでしょうか?
最近のコロナのニュースで、NPではあたかもGDPを金科玉条のように語る浅はかなコメントが多いのは非常に気になるところです。多くの子どもにとっては、数%のGDPよりも大好きなおじいちゃんおばあちゃんが健康で生きていることの方がはるかに大事ですし、幸福です。
また、全ての国をプロットすれば上記の相関は明白ですが、各国の近年のGPDと幸福度の増減を追うと、相関はむしろ逆であることもあるようです:
https://www.economist.com/graphic-detail/2019/03/21/economic-growth-does-not-guarantee-rising-happiness