「IPOゴール」の揶揄では終わらせない。次の議論に向けた「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」
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注目のコメント
新興市場への上場後、時価総額5,000億円を超える会社はメルカリ、フリーの2社だけとありますが、なぜ、ペプチドリームが入っていないんでしょうか?集計の漏れでしょうか?
東京大学発、菅裕明教授の技術をもとに、独自の特殊ペプチドで中分子ペプチド創薬を行うペプチドリームは、2013年6月11日に東証マザーズ上場しています。
https://minkabu.jp/stock/4587/ipo
現在は、東証1部上場に移り、本日(2021/8/30)時点で、時価総額は、5083億円です。
https://shikiho.jp/stocks/4587
本日の終値は、3910円ですが、この資料で、出てくる時価総額は、2021/3/30の株価を使っているとあるのですが、その日の終値は、5090円で、時価総額は、もっと高くなっていたと思うのですが。
日本の中分子創薬は、世界でもトップクラスを走っており注目度も高く、市場でも認められています。お忘れなさいませんように。
メルカリ・フリーのようなITベンチャーと並んで、創薬・バイオベンチャーにも注目です。プロ筋嶺井さんによる流石の論考。
二つほど気付いた点を加えさせていただくなら
第一に、便宜上比較対象の米国でNasdaqのみを取り上げられておりますが、昨今ではニューヨーク証券取引所(NYSE)とその性質上の違いは曖昧でありかつ競争関係にあるため、したがって最近NYSEにIPOしたぱっと思いつく今1兆円超えてる大型テック系スタートアップのそれだけでもUiPath 33B、Doordash 63B、Asana14B、Unity 35B、Snowflake 88B(B:ビリオン米ドル=1.1千億円) ら多数あります。
つまり本レポートにある1兆円企業の差、日:米=0:21、5千億円の差2:56、これはNYSEも加えると更に2倍くらいは離れるかと思います。
第二に、上場後の成長阻害要因を「成長投資」「人材採用」「経営ノウハウ」「資本市場とのコミュニケーション」この4点とされており、それらには賛成ですが、更に根本的な問題としては市場性の問題だろうと考えます。単純に日米の市場規模が4倍差、更にその伸び率も日本はほぼフラットに対して米国は先進国で最も伸びている。そしてもう一つ、であるなら海外市場を捕ればよいがそれがからきし苦手なのが日本、この二つが根本理由でしょう。米国ビッグテックの売り上げ構成比の北米比率はいずれも半分以下です。
なおここにきて急激にガタついているものの中国企業の米国IPO銘柄については純粋に中国国内市場の巨大さと成長性であるし、稀に出てくるその他の国からの米国上場においては多国籍に市場を取っている場合がほとんどです。本日、日本のベンチャー企業の「上場後の成長の谷」について一橋大学の鈴木教授との共同研究レポートを発表しました。
日本のベンチャーの上場後の停滞を「IPOゴール」という言葉で揶揄することはあっても、その構造的な課題が真剣に議論されることはここまでありませんでした。
(ずっとそれを心苦しく思っていました)
この10年で上場ベンチャーが数多く生まれ、そこには上場まで辿り着いた優秀な経営陣や、事業が何百とあり、大きな成長ポテンシャルがあります。
本レポートをきっかけに上場後のベンチャーがどのように成長が鈍化しているのか、またどういう構造的な課題があるのか明らかにし、議論を始め、皆さんと共に状況を変えていきたいと思っています。
ぜひご覧いただければ幸いです。