【新教養】日本のノーベル賞研究が、不老長寿の切り札になる
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今、製薬会社や化粧品会社などから熱い注目を集めるオートファジー研究について、哺乳類での研究の第一人者、吉森保・大阪大学教授にわかりやすく解説していただきました。
吉森先生のお話を最初に伺ったのは、数年前のとある勉強会でした。細胞という小宇宙の驚くべき仕組みや研究の魅力が伝わってくるお話で、引き込まれました。オートファジーの基礎研究の黎明期から社会実装の試みまでをご自身の経験として語れる方は、世界でもそうそういないかと思います。
先日掲載した特集「カウンドダウン!不老長寿の時代」の第6回です。1〜5回を見逃していた方は、こちらのページからぜひ併せてお読みください↓
https://newspicks.com/user/9856?ref=news-summary_5862036
余談ですが、新聞記者時代、オートファジー研究を切り開いた大隅良典先生の大学でノーベル賞の「発表待ち」をしたことがあります。残念ながらその年は受賞ならずでしたが、大隅先生は発表後、集まっていた記者陣にその年の受賞者や研究内容について解説してくださいました。優しさに感激したのを覚えています。
将来の研究の進展を予見し、哺乳類で研究する吉森先生を招いた、というエピソードも印象的です。本記事の取材を受けた吉森です。
私は、ベストセラーの「ライフスパン」の著者であるシンクレア教授が言うほどすぐに不老社会が訪れるとは思っていませんが、SFの夢物語ではなくなりつつあるのは確かです。生命科学は、一般の方の想像を超えるスピードで進展しています。社会的なインパクトも増大しており、非専門家であってもある程度の科学リテラシーが必要になってきています。
拙著「ライフサイエンス:長生きせざるをえない時代の生命科学講義」はそのような思いから書きました。
追記:
ちなみに16時間断食しないとオートファジーは起こらないと思われている方がいますが、ラットの実験では餌を数時間やらないだけで起こりますし、そもそもお腹が空いていなくてもオートファジーは少しずつ常に起こっていてそれが健康維持に重要です。空腹時のオートファジーは栄養源確保のために起こります。オートファジーがアクセルとすれば、ルビコンは人間の活動を止めるためのブレーキなのですね。ルビコン川を渡る、という表現がありますが、後戻りがきかない重要な決断を下すという意味。ブレーキをゆるめるということは、本当にいいことなのかどうか。社会全体にとってそれは望ましことなのかどうか。しっかり考えて、決断を下さなければなりません。