【トヨタCTO】戦国時代を前に「王者」が今、語ること
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自動車産業は日本の柱でありEV対応に遅れる事は日本の産業の柱が倒れる事になる
本質的な話が盛り沢山で面白かった
この本質力だけでなく判断スピードや時代を掴む力が大切
どうか新自動車時代も勝ってください🙏
注目のコメント
個人的に最も興味を持ち、待っていたインタビューである。トヨタの中でHEV信者の猛者群を制御し、BEV基盤を粛々と構築していった寺師さんの後を継ぐCTOである前田さんだからこそ。
「実用性、安全性、顧客の求めるもの、未来はまだ見えない、追いつける、中国」というキーワードが目にはいってきた。この回答のトーン自体はいつものトヨタである。前田さんで何が変わるのか、正直、解らなかった。
解説的なポイントを3点。
1.「何もしないのも戦略の一つ」
2011年震災後の六重苦で苦境に立った自国内自動車産業が空洞化の波のに襲われた。これは海外生産移管を次々と決定していく他社に対し、国内生産防衛を旗印に立てたトヨタ自動車の某幹部が私に発した言葉だ。海外生産移管を実現できる能力は有していても、その判断は最後までカードを残し、防衛に全力を尽くす。結果、2012年にはレジームチェンジ、アベノミクスで国内残留組が勝ち組へ。
2.欧米OEMはデジュール戦略、トヨタはディファクト戦略
巨大な自国市場、国家政治力を基に規制やルールを定め、その戦略を推進するのが欧米OEMのデジュール戦略。力のない政治とガラパゴスの自国市場しか持たないとトヨタは世界のユーザーが求める良品廉価でシェアを取るディファクト戦略。常に顧客の求めるものを需要プル型で最もDRQ(品質・信頼性・耐久性)高く提供するのがトヨタ。政治や謀略には騙されるが、ユーザーは騙さない。
3.BEVのキャズムの溝は深い?
BEVにアーリーアダプターの波は確実に来ているし、高級車やコミューターの普及は早そうだ。しかしアーリーマジョリティのBEV購買意欲はそれ程来ていない印象だ。BEVキャズムに対し、早晩、この現実を見ることになるのではないか。実際、中国NEV戦略には実証結果も出ている(供給は拡大できても需要が遅延する)。すなわち、トヨタにはまだ時間が残されているということだろう。
欧米国家戦略が明白化し、たんまり補助金をもらいながらその推進役を果たす欧米OEMの戦略に世界の「欧米人」が拍手喝采している。そこに迎合せよと自虐的国内メディアやポピュリズム政治家が騒ぐ。浅はかな判断ではこの勝負は勝てない。
国内OEMの考えも表面化できるだろう。Hondaは4月23日の新社長就任会見、トヨタは菅政権の骨太の方針が定まる6月以降ではないか。EVが普及しない要因としてよく言われていたスタンド問題。これが地域によっては、もはやEVの方が便利という状況もありうるということですね。人間は便利を感じてしまうと、それ以前には戻れないもの。
>ガソリンスタンドが激減して、隣の県に行かないと給油できない。
ことEVでは出遅れたと評されがちですが、実用に耐えうる商品としては最高品質のものを最速で出す、という強い意思も感じられました。
>実際にSUVのムーブメントが起きた時に、全力で開発した。
品質と価格はモノ作りにおいてバランスが難しいところ。安かろう悪かろうと割り切るのではなく、それがなぜなのか冷静に分析することが重要との視点です。現状は新興EVメーカーとトヨタでは生産規模の違いがありすぎますが、今の間にこれらの分析をしっかりやりきることで、いずれ内燃機関を大きく脱する時代が来ても戦う力を得られるはずですね。
>「どうしてこの性能がこの値段で実現できるのか」という分析の中に、我々がまだたどり着いていないものがあるのかもしれない。特集の取材の中で、最も面白いインタビューでした。EVを語る時、新規参入組と既存メーカーで意見が異なるのが「EV開発の難易度」です。
新規参入組は「そう難しくはない」と主張し、既存メーカーは「甘くない」と答えます。このギャップは、なぜ生まれるのか。どこが甘くないのか。トヨタのCTOにじっくり語ってもらいました。
ものづくりの基盤はトヨタの強みでもある一方、時に、それを支える巨大なサプライチェーンピラミッドは、変化への足かせにもなります。
ハード技術という資産を戦国時代にどういかすのか。トヨタの今後の歩みを、多くの日本企業の未来と重ねて眺めると、より興味が湧いてきます。