米コカ・コーラ、紙製ボトルを試験利用へ 夏からハンガリーで炭酸飲料を販売
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事業者の気候変動対策の一環で化石資源を可能な限り使わないことを目指し、プラスチック使用量削減のために紙(と機能補完のためのプラスチックコーティング)の利用が拡大しています。
一方で例えば海洋プラスチック問題の観点では、このボトルが海に流出するとプラスチック部分は残り続けるので、回収リサイクル網が整備されていないと、別の問題は残り続けることになります。
代替素材を検討するにあたって、製品の品質が保たれるか、使い心地が従来と比較して遜色ないかなどに重点が置かれがちですが、回収とリサイクルの体制を含めてトータルで考えることを忘れてはなりません。
ハンガリーでは自治体によっては資源ごみの中に紙製容器包装の区分があり、この中で牛乳パックや紙製ジュースパック(ゆすいだもの)が回収できるようなので、もしも新しいコカ・コーラの紙容器がこのリサイクルインフラに適用可能であれば、再資源化できる可能性はあります(形状が異なりますし、フィルムがうまくはがせずに対応できない可能性もありますが)。
もし再資源化可能だとしても、コカ・コーラすべての製品を一気に紙製にする前に、事前のしっかりとした分別教育と十分に機能する回収リサイクルインフラの確保が必要となります。
なお、リユースびんの使用は、確かに紙容器やプラスチック容器よりもCO2排出量が少ないですが、その重さによる輸送の際の負担を考慮すると優位差は少なくなります。また、日本を含むすべての国で、多くの飲料容器等がガラスびんからペットボトルに置き換わったことにより、ガラスびんのリサイクルインフラが衰退してしまっていることが、ガラスびん復古になかなか踏み切れない課題のひとつです。こういう取り組みに深く賛同します。今は「なんだこれ」と思う人がいるかもしれませんが、本当に実現すれば企業としても明確に差別化要因になります。できれば「人と地球の健康」を考える飲料として打ち出せればいいですが、生憎コカコーラ自体は体に良いとは言えない(肥満の原因)であることは、別途の課題ですねw
海でゴミ拾いをやっていると、大量のペットボトルごみに出会います。パッケージが剥がれていて、どこのメーカーのものか分からないものも多いです。
さて、紙製ボトルについてはいくつもの先例がありますが、大規模な市場普及はしてきませんでした。
例えばデンマークのビール大手・カールスバーグは、2015年頃から紙製ボトルの市場流通実験をしていましたが、やはり内側にプラフィルムを施さなければビールがしみ出てしまうという課題を抱えていました。
一方、紙とプラスチックを重ねたマルチマテリアルについても、簡単に分離できるように設計する技術は既にあります。
どちらかというと、それを回収してリサイクルに回す仕組みが無いことが問題です。
ここは一企業ではなく、関連業界・行政が連携して取り組んでいかねばならない部分ですし、消費者への教育も効果を左右します。
紙製100パーを目指すのはもちろんのこと、当面の間、マルチマテリアルをリサイクルの仕組みに乗せることも課題となるでしょう。(商品のライフサイクル全体で見たときに、リサイクルが果たして本当に良いのかどうかは別に試算が必要です)
その仕組みを関係主体が連携して作っていくためにも、現実社会からフィードバックを得ることは重要です。イノベーションには時間がかかるものです。
海洋汚染企業としての汚名を覆して欲しいですね!