「千人計画」念頭、海外からの研究資金に申告義務…科研費申請で
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根本的には、もちろん日本の大学の研究資金の決定的不足がある。昨年12月の追加経済対策で10兆円の大学研究支援の基金創設が決定したのも、遅ればせながらの対策。
同時に、ここ数年で中国の軍民融合が格段に進化している現実に日本の大学が無頓着であることもある。人民解放軍と一体になって研究開発している中国の大学、研究機関は多い。研究者自身にその意図がなくても、中国の軍事力に貢献していることも十分あり得る。欧米、豪州などでは警戒感が高まって対策を講じている。
米国のアカデミアは自ら自律的に提言している。米国の公的資金を受けながら、中国から資金供与を受けるのは利益相反になり得るので、「リサーチ・インテグリティ」に反するとして情報開示を求めている。米国ではこうした提言を受けて開示義務が課されている。
ひるがえって日本のアカデミアからはこうした動きは見当たらず、実態を知らないことからくる被害者意識だけだ。
機微な技術の中国への技術流出に無頓着でいて、米国の大学などとの共同研究のパートナーからも外されてからでは手遅れだ。
こうした実態を中央公論2月号に寄稿しました。「大学はなぜ経済安保を直視しないのか」ご参考まで「千人計画」に限らず日本以外のどこの国からであろうと海外からの研究資金を得ている場合は、科研費の申請時に申告義務を課すのは合理的に聞こえる。記事中の「軍事転用の可能性のある技術」をどう定義するかは、何がどうどの部分に役に立つのかすぐには分からない基礎研究分野ではかなりの議論がありそう。
>引用
『海外から研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」を念頭に、文部科学省は2021年度から、「科学研究費助成事業(科研費)」について、申請者が外国の研究資金を受けている場合は申告するよう義務づけた。研究の透明性を高めるとともに、研究者の海外活動の把握を進めるのが狙いだ』