自殺率、コロナ「第2波」時に上昇 女性・子どもで顕著

荻原千明
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 コロナ禍での国内の自殺率は、昨春の「第1波」では低下し、昨夏の「第2波」では上昇した――。東京都健康長寿医療センター研究所などが自殺動向を分析したところ、そんな傾向が浮き彫りになった。昨年2~6月では過去3年間の同時期と比べ、自殺者数が約14%減少し、7~10月では約16%増加していたという。特に女性や子ども・若者を中心に自殺率が上昇していたという。

 同センターが18日、発表した。国際誌「NatureHumanBehaviour(ネイチャーヒューマンビヘイビア)」にも15日、研究結果が掲載されたという。

 同センター研究所の岡本翔平特別研究員と、香港科技大学の田中孝直研究員の共同研究で、厚生労働省が公表する「地域における自殺の基礎資料」などを用いて分析した。

 発表によると、第1波時は、男女を問わず、ほとんどの年齢層・職業で自殺者が減少する傾向が出た。特に、緊急事態宣言下の4、5月では労働人口の自殺率が男性で21%、女性で27%減り、一斉休校下の3、4月では、学生らの自殺率が50%程度低下したという。

 一方、第2波時には、女性の自殺率は37%上昇して男性(7%)の約5倍に上り、主婦の自殺も倍増。20歳未満の自殺は49%上昇したという。一般に経済状況の悪化時には男性労働者の自殺増につながるが、新型コロナウイルス感染症の影響下では、異なる傾向が見てとれたという。

 岡本特別研究員は「検証が必要だが、相談件数が昨年度と比べて増えているDV(家庭内暴力)や、学校再開のスケジュールなどが影響している可能性がある」と話す。

 研究結果は、(https://www.nature.com/articles/s41562-020-01042-z別ウインドウで開きます)に掲載されている。

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悩みのある人の相談先 

・自殺予防いのちの電話 

フリーダイヤル0120・783・556(毎日午後4~9時、毎月10日は午前8時~翌午前8時)

ナビダイヤル0570・783・556(午前10時~午後10時)

 このほか、各地域にも「いのちの電話」があり、「日本いのちの電話連盟」のホームページで電話番号を確認できる。(荻原千明)

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