【唐鎌大輔】コロナ後の金融市場、方向性はどちらへ
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今回、2021年の為替見通しの執筆を仰せつかりましたが、内容は株・金利そして為替といった主要3市場をどう概観すべきか、という総論的に仕上げたつもりです。今年がそうであったように2021年もコロナ次第と言ってしまえばそれまでですが、やはり要諦は米金利動向になると思います。FRBが利上げに関心を示すことはまずないでしょうが、足許のインフレ期待の騰勢がこのまま続けば、フィッシャー効果を持ち出すまでもなく、名目金利はやはり多少上がるでしょう。利上げをしなくとも「景気改善に応じた金利上昇」ならば中央銀行は容認します。中央銀行にとって金利は水準自体が大事なのではなく、「その状況に応じて高いのか、低いのか」が大事だからです。
春先以降、明るいニュースも増える中で米金利の浮揚に応じてドル安も一旦底打ちする可能性はあるのかな、と私は考えています。もちろん、「明るいニュースなど増えない」という立場に立てば、全く見方も変わるでしょう。この点、希望的な観測の要素も当然あります(ただ、これは国際機関予想全てそうでしょう)。とはいえ、米金利やドルの上昇が一方的なものになるのも難しいはずです。ドルはさておき、米金利が上がれば株価の動揺は必至だからです。それをFedは許さないでしょう。その「許さないポイント」の見極めが大事と思います。
総じて、米金利そしてドル(結果としての円やユーロ)の値動きはV字やU字ではなくL字の横棒がガタつくような仕上がりになるのではないでしょうか。2021年はしばらくドル全面安が進んだ後、その後のテイクオフ(上昇)を探るステップになる。そのようなイメージの下、2021年の相場を迎えたいと思っております。よろしければご笑覧下さい。唐鎌さんご指摘の通り、為替にとって経常収支は重要だと思います。
この点、財政緊縮派の中で財政赤字拡大により円が暴落するという論調がありますが、低インフレ・経常黒字国である以上そんなことはないと思います。「実体経済と乖離したマーケット」に多くの人が戸惑ったのが2020年だったと思います。2021年の先行きを占うには、コロナの不確実性を所与のものとして、いろんなシナリオに備えていくことが求められそうです。