【プロ解説】まさに板挟み。資金調達「よくある落とし穴」
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今回の連載は第三回、第四回がハイライトですが、その段階として上場前後のスタートアップにまつわる成長フェーズや「資本政策」という言葉の意味、またなぜ重要かという点を実際の実務現場を知らない方にもできる限りイメージがつくように考えてみました。
なぜならば、「資本政策」があまりにも概念的にイメージが掴みづらく、またファイナンスや財務といった専門性の高い分野である(というイメージが強い)からに他なりません。
私はテクノロジー、ビジネス、ファイナンスの現場にいる機会を非常にラッキーなことに数多く頂戴しています。だからこそ、どうしてもそれぞれの分野が「分断」されてしまっており、有機的に結び付き、会社であるとかステークホルダー価値に活かしきれてないということを、長年歯痒い思いで感じてきました。
今回の連載を通じて、テクノロジーやビジネスの分野により所属し、ファイナンスから縁遠い方に、少しでも「資本政策」の重要性を理解いただければ、この「分断」が解消されるのではと期待しています。
日本はテクノロジーに大変強みを持った国でした。しかし今は、テクノロジーはコモディティ化し、単なる技術力だけでは世界と戦えない時代が到来しています。グローバルに通用する会社、社会を変革する産業を創出するには、テクノロジー、ビジネス、ファイナンスという「分断」の解消が不可欠だと思います。
ぜひ、今回の連載をご覧いただき、少しでも「資本政策」やファイナンス、スタートアップに興味を持っていただければ幸いです。第一回をご覧いただいてない方は、ぜひこちらの記事も併せてご覧ください。
<第一回目の記事>
【完全解説】ゼロからわかる、スタートアップの資金調達
https://newspicks.com/news/5368543スタートアップの資本政策を解説する連載第2回、今回も入魂1万字超えの論考です。
会社員の立場で働いていると、経営層に物申したくなる方も多いのではと思いますが、今回の原稿を読んで、スタートアップ起業家とはさまざまなステークホルダーの利害を調整するという、針に糸を通すような作業を何年間も、連続して行う存在なのだと理解しました。想像しただけで本当に大変な仕事で、だからこそそれに見合ったリターンを得られるのだと思います。
本文では事例やたとえ話もふんだんに盛り込みながら、スタートアップ経営者が直面する「ハードシングス」の正体について迫っています。皆さんもぜひ、身近な経営者の顔を思い浮かべながら、この難局を追体験いただければ幸いです。「ステークホルダー一人一人に「もう少し我慢してください」と説得する一方で、証券会社には「バリュエーションを300億円まで引き上げてほしい」と交渉し、従業員からは「いつになったら上場するのだ」と言われ、様々なステークホルダーの板挟み状態になります。起業家が、かなりストレスフルな状態になることはお分かりでしょう。
上場直前の企業は基本的には勢いがあり、ますます業績を伸ばせるポテンシャルがあるはずです。ですがこうなってくると、起業家は事業に集中できなくなります。
起業家のマインドは1番の経営資源ですから、起業家がステークホルダーの調整に時間を奪われるようになると、最悪の場合、事業自体が減速し始めます。」
起業家のマインドは1番の経営資源。
まったくその通りで。こんな光景はこの10年何回も目にしています。
それでもこの10年はよかった。
株高がずっと継続してきたからです。
上場時期が少々ずれでも上場出来た。
それが転換するのがこの後のポストコロナ。
コロナ禍が一服した後、大判振る舞いの過剰流動性の後始末が意識され始め、株高のトレンドが転換したらどうなるか。
今なら300億円、の提示Valuationは平気で半分以下になりえる。
そのときに上記のような調整時間は企業価値創出の逆回転に直結する。