キオクシアHDが上場延期へ、ファーウェイへの米制裁が影響-関係者
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表題にある「米中摩擦で収益性低下の見通し」ということ以外にも、本件はとても難易度の高いポイントが複数ありそうなディールです。
証券会社のキャピタルマーケッツ的には、シクリカルな業界でそもそもプライシングが難しく、上場してもオーバーハングリスクがあり株価が上がりにくいです。売り手のスポンサーがDemandingな米系PEファンドであるため、一般論としてはディールの設計もスポンサー主導/スポンサーの意向に左右されがちです(スポンサーに強く言うと証券会社は次以降のディールで厚遇されなくなる)。
売り手のPEファンド的には、IPOして複数の株価ディスカウント要因(オーバーハングリスク、流動性リスク、コントロールディールに比べて株価が下がるリスクなど)を受け入れたくなく、本当はコントロールを付けてまとめてトレードセールしたいところですが、サイズが大きすぎて買い手がいないし(EV 3兆円超)、東芝という政治・経産省銘柄なのでまとめ売りも許されないのでしょう。目論見書記載価格3,960円に対して仮条件2,800~3,500円と仮条件レンジを目論見書記載価格から下方スライドした設定になっていた事から、ディールのモメンタムは既に厳しい状況だったと思います。
IPO中止が明日正式リリースされる場合、明日は条件決定日だった事から、ブックビルディングの結果、需要が厳しかった事が推察されます。
主幹事証券としてはセールス部門を動員したブックビルディングの後での中止は苦渋の決断ですし、ロードショーの結果の中止よりダメージは大きい。
スポンサーの売却タイミングという観点でも、シクリカルな大型IPOというディール特性を勘案すると、再びIPOをローンチする事の難易度は決して低くは無いと思われます。難しい判断ですよね。
一般論として、半導体は市況のボラティリティ激しく、上場できるときにしておくべきですし、今回はそれほど売出しもなく、売却している状況にさえしておけば、あとはタイミング見ればよいので、株価を下げてでも上場しておくべきではあります。
実際は関係者のコンセンサス形成になりますので、外部からはわかりません。
私はこういう時は、とにかくやっておくべき派でしたね。
何度も延期を繰り返した事例も、それで結局タイミング逃した事例も見てきました。
早いことは常にいいことです。