【必見】優良企業が採用する財務諸表、ROIC使いこなし術
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注目のコメント
前職では、担当企業でも何でもないのに、工場見学好きの身として、オムロンの工場見学会に興味を持って参加していました。
最近では、企業競争力を決めるのは、技術や企業風土だけでなく、「ガバナンスとファイナンス」という思いに至り、取材を進めています。
これからより多くの企業が取り入れるであろう事業別ROICという経営財務指標。そして日本の製造業の多くが今も大切にする工場のカイゼン活動。
一見、両者は世界観が完全に異なるように思えますが、そのつながりをここまで明快に示した企業がオムロンです。
同時に、私自身のこれまでの取材経歴からしても、まさに「腹落ち」したので、NPを利用される皆様にも紹介したいという想いがありました。
こうした現場腹落ちのROIC展開に乗り出している企業は、調べた限り、三菱ケミカルHD傘下の旧三菱樹脂くらいで、極めて貴重な事例だと思っています。
連載最終回となりましたが、今回のテーマは多角化経営。
多角化経営を課題を取り扱った前回の記事で、プロピッカーの島田太郎さんが、
「新しい開発が好きすぎて、文化的に何でも参入してしまう、
会社文化が原動力になって多角化することとと、
経営者の不安で多角化することとは意味が違います」
そんな旨をおっしゃっていました。
私自身は興味の対象が増えた結果として、取材テーマが多角化しているので、勝手に前者だと信じています。
とはいえ、ビジネスパーソンの投下資本に相当する「時間」と「気力」が、分散しすぎれば、一つ一つのテーマも掘り下げが中途半端になります。
そうして、悪い意味での「何でも屋」にならないよう、自戒の念を込めながら、記事を書き続けていました。記事に書かれている「現場の腹落ち感」というのは本当にそうだと思う。
KPIが売上であることはいまだに少なくないが、それは分かりやすいから。同じ業態でもKPIを売上と粗利にしている会社で全然経営成績が違ったことがあったが、値下げへの動機づけが全然違う。一方で粗利をKPIにするためには、営業に見えるようにすることとか啓蒙(売上達成できなくていいのか!みたいな)に数年間時間がかかったと聞いたことがある。
上手な会社は、連結や事業のKGIにつながるように、各部署に明確にKPIが落とし込まれている・見えやすくなっているし、またそこがなぜなのかという文脈共有ができていると感じる。
オムロンについては記事からもそこらへんがとても上手だと感じる。
ROIC自体については、記事にリンクあるAkiさんのプロピッカー新書の記事と併せてごらんいただきたい。
個人的には財務諸表を見るだけでなく、「この事業をやるのに資産は必要なのか」と想像してみてほしい。製造業は工場とかが必要だし、小売・飲食は店舗。逆に、IT企業とか人材派遣とかは直感的に少ないと思うだろう。
それは成長に資産・資金があまりいらないということ。だから、事業でさえ勝てば成長しやすい(高成長率となりやすい)。一方で資産が必要な場合は、事業で勝つだけでなく供給量を増やすために資金が必要。利益の蓄積か、外部からの調達か。ただそれは他社も同様なので、基本的には障壁になる。ならないケースは、それを障壁としていた垂直統合型企業に対して、水平分業が入ってこれるケースなど。
なおその直感に反し、BSが大きい場合は、余剰資産を持っている場合がある。その場合は事業としてのROIC(無駄な資産は除いて考えたもの)と経営としてのROICを分けて考えたりもする。そしてこういう部分が昨日下記でコメントした「内部市場がちゃんとしているか」。
https://newspicks.com/news/5243990
でもROICが高い≒成長しやすく高収益だと、評価額も高くなる。なので実際のWACCが高くなる。そういう企業がアセットヘビーに移るとROICが例えば8%を超えていても、その企業の株価などから期待されているROICを満たしていないこともある。最初から最後まで素晴らしい記事です。
最後に「株主の先を見る」こととありますが、まさにおっしゃるとおりです。特にアメリカでは株主「だけ」を喜ばせる“株主資本至上主義”といった印象もあります。
でも、その実、海外へ行くと感じるのは、アメリカの退職者夫婦がアメリカ国内や世界を旅しながら豊かな老後を過ごしているのも株主となっている年金基金を通じて十分な退職年金を受け取ったからだよなあ、と。
お金は社会を循環しているので、会社が株主に報いれば結果的に社会全体が報いられるという側面があります。