菅氏「不妊治療に保険適用」 自民党総裁選演説会
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注目のコメント
歓迎すべきですが、難しい話です。
不妊治療は本当に「ブラックボックス」の要素が強いです。何をすれば上手くいくのか、何が上手く行かないのか、患者の背景や年齢によっても違いすぎますし、不妊の原因の多くが未だに「原因不明」です。
その中で保険適応するには、
『どういう「病名」でどの「治療・検査」が適応になるのか』
という難しい話に「画一された指標」を設定せなばなりません。
また『「不妊」の定義をどうするのか』も考えなくてはなりません。
どのくらいの不妊期間があれば不妊なのか、顕微受精や人工授精といった方法が適応される条件は何か、について保険的な定めが必要になります。
これが画一化されるのは、治療が明確になるというメリットもありますが、逆に言えば保険外の治療はできなくなり、「高齢だから早めに人工授精などにstep-upしよう」などという提案が難しくなる危険性もあります。
更に、保険には常に「診療報酬」という枷がついて回りますから、診療報酬で認められない治療は常に保険適応外になります。
日進月歩の不妊治療で、新しい治療が出てきても、国が承認するまでは自費でするか、諦めるかしかないのです。
そういうリスクも見た上で、議論する必要がある問題です。単に「保険適応で自己負担が減る」だけではないのに注意が必要です。
個人的には、保険でできる範囲は可能な限り広げつつ、自由診療との混合診療を一定の範囲で認めるのが良いと考えます。特に今ある助成金制度の活用の方が、自由度を制限しないので良いのではないでしょうか。この政策は歓迎です。遅すぎたくらいです。当事者になったことがなければ、不妊治療の負担の重さ(時間的・金銭的負担、身体的・精神的苦痛)は分からないと思います。
導入にあたってはクリアすべき課題がいくつもあります。ひとつは、対象者の年齢制限です。体外受精の場合、フランスでは42歳以下の女性は4回の治療まで費用の全額、ドイツでは40歳以下の女性について3回まで半額が保険でカバーされるそうです。残念ながら、卵子が老化すれば成功確率も落ちます。予算に限りがあることを考えれば、対象者をある程度制限するのは、仕方のないことかもしれません。
また、不妊治療の専門病院をうたっていても、技術はピンキリです。保険適用となれば、看板をかけかえる病院もあらわれることでしょうが、どこもかしこも加藤レディスクリニックのような技術(胚盤胞にまで持っていける培養技術を含め)やセントマザーのような経験値があるわけではありません。正しい情報が得られなければ、自分に合わない治療を繰り返すことにもなりかねません。
また高齢の妊娠は、リスクも多いです。私自身も成育医療研究センターで羊水検査もしましたし、後期に妊娠高血圧症(妊娠中毒症)にかかって緊急入院もしました。母体にとっても、胎児にとっても、リスクは増します。なので、妊娠・出産の身体的適齢期がいつなのかということを、学校でもっと積極的に教えるべきだとも思います。40代以上で出産ができることの方が稀ですし、その裏側には大変な努力があることが少なくないのです。
ともあれ、「不妊治療に保険適用」は歓迎です。
実現を切望している人は非常に多いと思います。《追記》
一番大事なのは、
若いうちに出産できるようにするには
という議論。
不妊治療の保険適応は、分かりやすいですけど、
少子化対策、という目的であれば、
効果は乏しいと思います。
保育や教育の負担の問題や、
妊娠してすみません、と職場でいわねばならない社会の雰囲気を変えていかないと。
なるべく前向きに捉えようと思い昨日は控えましたが、
やはり大事なことなので追記しました。(追記ここまで)
不妊治療と一言で括れるほど単純ではないので、実現するためにはかなりの議論を要すると思いますが、
実際、経済的な面で治療を諦めている方も少なくないので、なんかしらの形で補助が増えて欲しいと思います。