日本版シリコンバレーへ 政府が東京・横浜など4都市圏を選定
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この記事は、2019年6月に政府から構想が発表された「Beyond Limits. Unlock Our Potential~世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略~」に基づき、2020年1月から公募されたスタートアップ・エコシステム拠点都市(のうち、グローバル拠点都市)の選定結果について、政府発表に先んじて報道した記事です。
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/ecosystem/index.html
都市に着目し、都市に集中投資しててスタートアップのエコシステムを形成するアプローチについては、2019年2月5日にThe World BankのVictor Mulas氏が 平井内閣府特命担当大臣にピッチを行った(いわゆる平井ピッチ)、「世界のスタートアップエコシステムと日本」が理論的バックグラウンドになっています。
https://www.cao.go.jp/others/soumu/pitch2m/results.html
政策が掲げる戦略の3つ目として、「世界と伍するアクセラレーター・プログラムの提供」が掲げられています。日本にはコーポレートアクセラレーター(スケーラレーター)は多いですが、シードアクセラレーターのプレイヤーは少ない状況です。シードアクセラレーターの優れたプログラムを作るための機会をいただけるようでしたら、ぜひ取り組んでみたいです。
注目のコメント
分散したいのか集中したいのか、正直よくわからない。もう少し政策の全体像を知らないとネガティブなコメントしか思いつかないのだが、新聞にはそうした詳細な報道は難しいのだろう。
また、シリコンバレーを作る、という発想は、やめたほうがいいと思う。
それよりも、それぞれの持ち味をどう活かしながら、新しいものを取り入れていくか、という現実的な政策が望まれる。例えば、東京の持ち味は独特なものがあると思うし、それは逆に言えばシリコンバレーにはないものでもある。
ドラッカーの言葉に「すでに手にしているものによって初めて必要とするものをつくりあげることができる。 手にしていたいものを発明することからスタートすることはできない」とあるが、手にしているものからスタートすることが大事ではないだろうか。
もしかすると、政策の全体像はそういうものになっているのではないかとも想像する。
追記
当該の政策の概要はここにあった。
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/ecosystem/index.html
なるほど、これによれば、まず手を挙げた都市に、大学による起業家人材の育成と起業家支援の仕組みを官民を挙げて作る、ということであって、別にシリコンバレーを目指しているわけではないようだ。少し安心した。シリコンバレーはもちろんベンチマークにしているだろうが、ただ、それをコピーすることは不可能であるし、それぞれの都市ごとの持ち味が生かされる政策、そして、何よりも実践が大事であろう。都市数を増やすなら、予算やバックアップ体制も上積みしないと、成功率が低くなる事が懸念されますので、政府はそこもしっかりと実行して欲しい。
起業率が世界的に低い日本がグローバルで戦っていくには、国をあげてベンチャー企業を育てる事は必須なので、このような取組は大歓迎です。
ただし、折角やるなら形だけではなく、キッチリ成果を出せるよう、やり切る事が最も重要だと思います。都市圏なのは当然。ランウェイ(企業寿命)が長くても1年半とか、限られているスタートアップには、時間と効率は金である。
東京ならば、資金調達タイミングには、1日に3つのVCとのアポは入れられる。ロジックと数字だけでは評価できない企業ステージの場合、対面で会って情熱を伝えることも時には必要である。
そのためには都市の集積性が必要。
同時に日本市場のみを対象とするのでは、スタートアップが求められる成長性には心許ない。グローバルサービスを提供するには、国際便の多く就航する空港に近いアクセスも必要。
『ハブandスポーク理論』で組み立てられている交通社会インフラの『ハブ』部分にあたる都市部に、エコシステムを、というのも、当然だと思う。
記事より
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選定されたのは東京都・横浜市などに加え、名古屋市・浜松市など、大阪市・京都市・神戸市、福岡市-の4都市圏。
当初は2~3都市の予定だったが、立候補が多く上積みした。
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ただ、上記では圧倒的に、東京都・横浜市が1強状態。
その他の都市部はだいぶパワーに見劣りがある。
これを解消するには、各地域に特色を持つことではないかと思う。
例えば、名古屋・浜松市は、トヨタやスズキといった、自動車大手メーカーのお膝元で、下請けの多くのメーカーの産業集積がある。
これは、IoTや、ハードウェアスタートアップには、良い条件になりうる。金型を作るのが半日あればできる、とか、デモ機から量産体制にスムーズに入れる、とか。
西日本や福岡は、東京よりも遥かにアジアへのアクセスが盛ん、インバウンドも西高東低であることから、アジアグローバル産業に強みを持つとか。
スタートアップ集積地として、都市ごとに、特徴があるのが、中国の沿岸都市である。
北京は政府と近いのでメディア系。TikTok のBytedance社も北京である。
上海は古くからの国際都市としてグローバル系。
杭州は、アリババの本拠地で、EC系が集積。
そして、深センは、ハードウェアである。ドローンシェア世界ナンバーワンの、DJI社も深セン拠点。
政府が日本のスタートアップ育成政策をやるなら、戦略が必要。
記事にあるが、『立候補が多いから上積みした』なんていうのは、無戦略の露呈である。