アビガン、有効性示されず 臨床研究で、藤田医大が発表
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今回の臨床研究では、 軽症者や無症状の患者を対象に「初日から最長で10日間アビガンを投与するグループ」と「最初の5日間は投与せず入院6日目以降に投与するグループ」で、ウイルスの消失率や解熱するまでの日数などを検討しています。 解熱までの平均日数は、初日から投与すると2.1日、5日間投与しなかった場合は3.2日で、投与した方が解熱までの日数が短い傾向があるが統計学的な有意差はない、という結果とのこと。
「有効性」というと死亡率や重症化率を劇的に改善させる効果を期待するかもしれませんが、そもそもが「平均で2~3日で解熱するような軽症状の患者を対象に症状の期間がどれほど短くなるか」を検証するための研究ですので、「有効性確認できず」の解釈には注意が必要です。
ただ、今回の結果を踏まえるとアビガンの承認を後押しする材料はなく、承認はより厳しくなったのではないかと思います。この結果をうけて、『でも効いた人もいる』というご意見がきっとでると思うので、一応コメントしておきますが、
アビガン内服ののち症状改善した例も、
もしかしたらアビガンを内服しなくても自然に改善したかもしれず、
偶然なのか、因果関係があるのかは、分かりません。
そこに因果関係があるかどうかを検証するのが臨床試験です。
さらに、効果がある症例が一例でもあれば有効、といえるわけではなく、
統計学的に有意差をもって『有効』と判断できてはじめて、適応となりうります。
《追記》こちらの記事の方が詳細載ってます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200710/k10012508371000.html
あと、これは臨床試験ではなく臨床研究で、
最初から投与するかどうかの比較をしているので、
アビガンが純粋に有効かどうかの検証をしているわけではありません。「統計学的な差が出なかった」というのは、「無効である」とはイコールではありません。有効性を示すための試験では、有効と言えるか、言えないかが分かり、無効かどうかまでは分かりません。言葉遊びのようで恐縮ですが、「有効かどうかが確認できなかった」と言うのがより正確です。
ただし、本研究では、比較対象としてそもそも偽薬を用いていないので、スタートの時点で、アビガン投与群に少し有利な設計だったところも見逃せません。その上で大きな差が見られなかったというのは、使用を控えさせるのには十分かもしれません。
単一の研究結果が全てではないというのは、強調してしすぎることのない事実ですが、レムデシビルの有効性が確認でき、モノクローナル抗体などの試験が進む現状において、それでもアビガンを使い続けるという状況は今のところ考えにくいと思います。