IPO・M&A復調 6月金額倍増、緩和マネーが成長投資へ
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リーマンショックの時国内のM&Aマーケットは件数ベースで約40%減少し、その回復には2年半もの時間を要しました。
しかし今回は意外に減少が少なく、上半期の比較で前年対比9%の減少に留まっています。
しかも緊急事態宣言解除後の案件の伸びは目覚ましいものがあり、M&A業界の末席に位置するウチの会社でさえ、月間の受託件数は過去最高を記録したほどです。
ただ件数の伸びに比して、金額ベースでの伸びはそれほどでもなく、特にクロスポーダー案件の回復にはそれなりの時間がかかると思われます。
個人的な感覚としては、将来利益をベースにハイレバレッジをかけた大型M&Aは一時的に様子見のところが多く、リスク分散を念頭に割安なバリュエーション先の買収を考える買い手が多いような印象です。
M&Aはブレ幅が大きい業界なので、コロナ第二波の如何によって今後の状況は大きく変わってくるかと思いますが、しばらくはこの活況が続く可能性が高いと思われます。日本のIPO市場では今年18社がローンチ後に中止した一方で、6社が既に再ローンチしており、株価形成も順調です。オファリングサイズ(公募売出し総額)やディール特性、前回ローンチ時よりもバリュエーションを修正し、投資家のリスク許容度に応じた調整を行っている事も大きな要因と推察します。
また、コロナ禍でプライマリー価格(発行価格)での供給が少なくなっていた事も、個人投資家・機関投資家双方の需要を喚起し、プライシングにおける良いディールモメンタムの形成に寄与しているものと考えます。
なお、5月は約1ヶ月のオファリング期間とGWの長期休暇を避けるため、コロナ禍とは関係なく、IPO社数は0の年が多い傾向にあります。COVIDによる事業環境の変化に対応するため、コア事業とノンコア事業の振り分けによる大手各社のポートフォリオの入れ替えが(特に北米では)進み始めている印象。COVIDで伸びているスタートアップに対してのM&Aオファーも増えている一方、市場からも評価されやすくIPO準備も進むだろう。
他方、COVIDで苦しくなる業界も、同じく生き残りのためのM&Aが進みそう。(今動いている案件はコロナ前の仕込みが多いと思うが)これから、いきなり・ペッパーやLIXILビバのような切り離し案件は加速しそう(なんとなくいつかやらねば、だったものが今やらねばになってくる)。
調子が良いところ、悪いところどちらからもM&Aの動きが強くなってくるのが今回のCOVIDの特徴。