4月の経常黒字、84%減 新型コロナで経済活動停滞
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政府が巨額の赤字と借金を抱えても我が国が安定していられるのは、民間が大きな黒字と貯蓄を生んで、日本の国全体が黒字で外国にお金を貸せる状態にあるからです。この構図の結果が経常収支の黒字です。
新型コロナウイルスによる世界経済の停滞で自動車などの輸出が大きく減る中、原油や天然ガスといった天然資源の輸入はそれほど減りません。前回経常収支が赤字になった5年10ヵ月前は、原油価格が100ドル前後まで高騰した時です。今は原油価格が大きく下がっていますが、これが値上がりしたら、貿易赤字は更に膨らみかねません。
我が国が貿易収支でなく所得収支で稼ぐ国になって久しいですが、米国債に利息が殆どつかなくなって、海外の事業も儲からない状況が続いたら、所得収支の黒字も減って、経常収支が赤字に転じないとは限りません。
基軸通貨であるドルを持つ米国は、経常収支の赤字分が資本収支(米国債等への投資)で自然に自国に戻って来ますが、日本の場合、必ずしもそれは期待できません。政府の巨額の赤字と借金が本当に問題になるのは、我が国全体が赤字になって、円建ての資産からお金が離れるそのときです。そんな未来を見たくはないけれど、ここまでくると経常収支の動きから目が離せません。黒字が維持できるよう念じたい (・・;季節調整値でみても、経常黒字は前月比▲73%。
落ち込みの100%以上は貿易赤字の拡大で説明できます。
こんな中でも、第一次所得収支は前月から+15%近く増えてますが、前年比ではやや減ってますね。日本は2010年代ごろから、貿易収支が全体の経常収支に与える影響は小さくなっていますから、貿易収支について一喜一憂する必要はありません。
日本の経常収支を支えるのは、企業の海外投資に伴う第一次所得収支。
所得収支は、コロナがあっても時間遅れがあるので、今のところ大きくは減少していませんが、所得収支の減少幅が拡大すると日本はちょっと心配です。
長年赤字だったサービス収支も、インバウンド需要のおかげで昨年は黒字化しました。旅行収支などは入も出も減るのですが、今年は再び赤字に戻るでしょう。この赤字幅の動向も気になるところです。
一方、中国は貿易収支が全体に大きく影響する収支構造ですから、貿易収支の動向は中国経済の動向を見るためにはとても重要です。