トランプ米大統領、香港の優遇措置撤廃を指示 国家安全法巡り
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一見すると非常に厳しい対応に見えますが、実はどれも既出の話です。ここ最近の対中関連政策で五月雨式に話が出てきていたものをこのタイミングでパッケージとして改めて提示するシグナリング、その相手は牽制対象の中国であるだけではなく、選挙をにらんで米国国民へと対中強硬姿勢をアピールして「強い大統領像」を見せるという両目的がありそうです。
逆に、対中政策で既出でありながらこのスピーチで触れられてない物が何かに留意するのがポイントです。例えば、米中貿易協定は触れらていないので続行です。このスピーチの後に株価も上がっています。
既出ではない、新たな厳しい対中政策が何かしら示されていたら別だったかもしれません。しかし、このスピーチを聞く限り米中関係を詳しく追っていた人達にとっては想定の範囲内であり、だからこそ投資家の総意としてのマーケットも好意的に反応していると考えられます。
注目のコメント
この会見では、他にもいくつも重要な措置がいわれています。中国に対する包括的な制裁措置というべきもので、もし全て実行されれば、経済への影響は甚大です。
・中国政府の隠蔽により、新型コロナウィルスが世界中に感染した
・WHOは、この事態を阻止しておらず、中国に支配されている
・したがって、米国は「WHOとの関係を終了」し、資金は他の国際機関に提供する
・スパイ防止のため特定の外国人(当然中国を意図しているのでしょう)の入国を一時停止する
・中国企業の米国市場への上場について、妥当性を検討する
・中国政府は、1984年に中英連合声明に違反して、香港の自治を無効化している
・香港への関税や入国に関する優遇措置を撤廃するこの会見の後、米国株式市場は大きく買い戻されたが、この問題の重要性を軽視していると思われる。今、起こっていることは、歴史の教科書に残されるような事態である。香港が香港でなくなる。中国が香港への一国二制度を無視して、香港を中国に組み入れても、実は香港の経済価値は失われない(人権的には酷いことだが)。なぜなら中国にとってマネーセンターとしての香港は重要だからだ。しかし、米国が香港への特別措置をすべて撤廃するなら、香港はもうマネーセンターではいられない。製造業の世界でしばしばサプライチェーンの寸断というような表現が使われるが、香港は金融版サプライチェーンの崩壊となる。トランプ大統領も、今日の会見ではそこまで踏み込んではいないものの、この流れの帰結はそこまで想定する必要がある。来週は天安門事件記念日(6/4)もある。香港問題の動向は注視する必要があるだろう。