1台300万円。奈良で生まれた「型破り」のかき氷マシン
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300万円のかき氷製造機は非常識だ。読者も売れるわけがないと思うだろう。
でも、その「狂気」のマシンは奈良の起業家のもとに集った製造メーカーを含めた関係者の内に眠る「狂気」を引き寄せてプロトタイプが完成し、夏にも製品化されようとしている。
覚えている人もいるかもしれないが、秋にNewsPicksにこの「狂気」の起業家・上田勝さんを紹介した時には予定価格が200万円だったのだが、結局、金型を作るわけにはいかず、一つ一つの金属部品を手作りして組み上げるしかなかったので、受注生産での300万円(これも予定価)になった。
まったく馬鹿げている、と私も思う(笑)。
でも、私には次に述べるような経験があるのだ。30年も前の話になるのだが、友人からある人物を紹介された。うろ覚えだから細部は正確でないかもしれない。
彼は二十歳になった誕生日に父親からいきなり自分の貯金通帳に7000万円振り込まれたのを知った。父親は高名な医者で、自分も医学を目指す道にいたが、一生分の小遣いの先払いだったかもしれない。
父は息子にある条件を出した。これをそのまま貯金したり、金融商品に投じて増やそうとしてはいけない。何かに一発で投じてみろというのだ。
普通だったら、マンションを買って一人暮らしをしようとするだろうし、サラリーマンだったら、もっけの幸いで7000万円を頭金に1億円を超える高級マンションのローンを組むのが落ちだろう。
ところが彼はそうしなかった。
当時、車好きだった彼は、映画007で有名なアストンマーチンのヴィンテージカーをポンと買ってしまったのだ。
まあ普通だったら「バカ息子、ここにあり!」という典型的な話で終わる。
ところが、ところが、そうはならなかった。
なぜなら、買った翌日から世界中の金持ちからの問い合わせが相次ぎ、「君の車を譲ってくれれば石油の利権の一部を渡す」とまで要望される存在になったからだ。つまり、一発の買い物で、彼の世界におけるポジショニングが変わった。
まったく予想外のハイエンド人脈の土俵に意図せず登ってしまったことによって、彼の存在が変態(メタモルフォーズ)し人生のモードが変わる。
私は、この「狂気」のかき氷製造機の開発を「やろう!」と覚悟してくれた池永鉄工の池永社長と上田さんに、この「脱皮」が起こる可能性を観ている。アイデアは既存にはなかったことなので、Noと言われることも多い。しかし、やってみる。小さな部分から。そこで成功して周りの認知を得て、より大きい部分に取り組んでいく。
皆さんの中でも「良いアイデア思いついた!」という経験はあると思います。ただ、実行されたでしょうか?多分、ほとんどが時間とともにそのアイデアさえ忘れてしまうのでは。なので、一歩踏み出す、実行するだけで得られるものは沢山あります。多数の人がしないのだから。この記事を書いた川内です。
僕が抱く藤原さんの印象は「着火マン」です。
時計も、かき氷マシンも、明後日から始まる学校の話も、情熱だけでなく、冷静な計算をもって周囲の人の胸のうちに火をつけて、大きく燃え上がらせる。ユニークな発想を妄想で終わらせない。
今回の記事では、藤原さんに着火されて、奈良の上田さんのなかに眠っていた狂気(いい意味です)が目覚めたと感じています。
上田さんの猪突猛進ぶりについては、昨秋に書いた【1台200万円のかき氷マシン。奈良の連続起業家が58歳で挑むモノづくり】(https://newspicks.com/news/4220115/)をぜひご一読ください。