原油先物一時35%高、米大統領が価格戦争に関与と表明
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5ドル高でも、水準が20ドルほどだったから上昇率としては極めて大きい。
原油は直近の下落率も、長期で見た水準感も、少し行き過ぎている印象。何年か寝かしてもいいなら欲しくなる水準。2013年以降米国はシェールオイルを抽出する技術の革新により次第に低コストで石油を産出することができるようになりました。
シェールオイルのコストは技術革新により2年ほど前には1バレル当たり45-50ドルでしたが今は40ドルくらいまで下がってきているとも言われてます。それでもシェールオイルはOPECの石油よりも値段は高くなります。然し乍ら、輸送費や手間を考えると多少値段が高くても米国産の石油需要は充分あるのです。米国はカナダ、韓国、中国、英国、オランダ、インド、イタリア、台湾などに輸出するようになりました。
ここで今回何故原油価格が暴落したか?ですが、一般的にはコロナウイルスにより世界経済の成長が減速し、原油需要が低下するからと言われていますが、果たしてそれだけが理由なのでしょうか?
3/9には米原油先物市場は1991年の湾岸戦争時以来の下げ幅となりました。主要産油国のサウジアラビアとロシアが、協調減産協議の決裂を受けて増産に転じると伝えられたことがきっかけです。米国を世界一の産油国に押し上げたシェールオイル業界が真の標的との見方があります。
今や世界最大の産油国であり世界最大の天然ガス産出国でもある米国をどうしても許せないのがロシアです。2014年クリミア侵攻以降米国はロシアに対して経済制裁を課していることに対しての苛立ちは隠し切れません。
OPEC諸国及びロシアは過去3年余り協調減産を実施し、原油価格の維持に努めてきました。しかし、その枠組みの外にいる米国のシェール業界が増産を続けた結果、OPEC諸国及びロシアは彼らのシェアを米国に奪われただけとの不満が噴出してきてました。シェールオイルは採掘コストが高く、サウジやロシアとの価格戦争になれば勝ち目がなくなります。今回は明らかに米国のシェールオイル潰しがサウジアラビアの狙いでしょう。
米シェール業界には財務基盤の弱い中小企業が多々あります。2013年からの一時の採掘ブームが去り、金融機関からの支援も得られにくい中、それら中小企業が破綻してしまうなどシェール業界が大きなダメージを受けてしまう可能性が出てきました。それにより、企業活動に翳りを帯びてしまうと、米国経済にとってとても不味い状況になります。
従って、トランプ大統領は必要に応じて価格が上がる方向へプレッシャーをかけてくると思います。