Amazonもやっている“送料無料” 楽天だけ“総スカン”の理由
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送料無料問題の本質的困難は、店舗の限界収入と限界運賃コストが比例しないことにある。
運送業者の運賃体系は、「大きさ×配送先地域」で基本的に出来上がっている。
参考:ヤマト運輸の宅配便運賃一覧表 http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/search/estimate/ichiran.html
運賃は定額でないし、大きさや配送先とは関係なく「1個いくら」でコストがかかるわけではない。
これは、加盟店にとって限界収入(売上げ増)と限界運賃(売上増に対応する運賃増)が比例しないということ。
にもかかわらず、「ある金額を超えると送料無料(送料込みと表記しても構造は同じ)」とすると、
その「ある金額」を超えると、最初のうちは収入あたりのコスト負担が急に大きくなり、収入が増えるとやがてコスト負担が下がっていく。
上記の収入ーコストの構造は、「一個当たり金額を値上げ」しても変わらない。
(ただし、一回あたりの「購入金額が十分増えると、値上げするとかえって利益増になる可能性もある。)
PFは、多くの商品を同時に届けることによって、あるいは継続的に顧客になってもらうことで、上記の「構造的ねじれ」を吸収できる。
だから、アマゾンPrimeや、アマゾンの倉庫に商品を預けている商品(FBA利用店舗)は送料を無料にできる。
(後者では、FBA手数料の配送代行分は、どこに送るかによらず1回404円らしい。月間固定費は存在しない。)
PFでなくても多くの商品を扱う店舗は、一回当たりの購入金額が大きくなること、継続的に買ってもらうことで、自力で上記の「コスト構造のねじれ」をある程度吸収できる。
しかし、同時に多くの商品を買ってもらうことが難しい小店舗、継続性が低い顧客が多い加盟店は、コスト構造のねじれを吸収できない。
以上から、今回の楽天の「3980円以上は送料無料」は、構造的に無理があると言わざるをえない。
この問題を克服するためには、以下の施策が妥当だと思う。
①加盟店が「3980円以上は送料無料」か「送料別」かを選べるようにする。
(後者を選んだ加盟店が競争力が下がることは自己責任。ただし、それらの店は一個あたりの金額を表記上下げられるので、競争できないわけでもない。)
②楽天の運送代行を増やす(FBAに相当するサービスの利用店舗を増やす)。