スタートアップの評価額と上場企業の時価総額
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
上場企業と未上場企業のバリュエーション比較は後述する通り、厳密には正確ではないものの、面白い試みです。
実際、レイターステージのバリュエーションの高いスタートアップの場合、果たして同規模の上場企業と同等の価値があるのかと考えてしまいます。
IPO時のモメンタムで売り抜けを狙う前提であれば、そこまで気にする必要もないのでしょうが、いつかは調整されることを思うと、真面目に考えるほど、バリュエーションの妥当性は慎重に検討することになります。
この点、「ユニコーン」という言葉はすっかり市民権を得ましたが、バリュエーションが1,000億円(あるいは$1B)を超えること自体には本来、何の意味もないはずです。
スタートアップを促進する社会的意義とは、社会に大きなプラスのインパクトを及ぼす会社を創出する点にあり、ユニコーンとはその代名詞であったはず。
この点を見落とし、ユニコーンという言葉がひとり歩きして、単に時価総額1,000億円以上のスタートアップの創出が政策的な目標になりかねないことや、メディアで喧伝されることについて、やや危うさを感じています。
またスタートアップの世界では慣習的に、直近に発行された優先株の発行価格に発行済み株式数を掛けて評価額を算出します。便宜上、仕方ないことではありますが、本来、この考え方は正確なものではないことに注意が必要です。
普通株や以前のラウンドで発行された優先株と、直近の優先株では、条項が異なり、本来価値が違うからです。
直近ラウンドの株価をベースに会社全体の価値を表現するという慣習に従えば、極端な話、会社の株式の0.001%分を新規に発行して100万円で引き受けてもらうことができれば、簡単にユニコーンをでっち上げることができますし、誰にでも意図的にユニコーンを作り出すことができてしまいます。
これはさすがに極端な例ですが、とはいえ、似たような事例はまま、あります。
会社の本質的な価値が上がるのは喜ばしいことですが、今一度、ユニコーンの意義とは何かを考え直したいところです。
このあたりの問題意識は、4年前にNewsPicksの連載で言及した頃から変わりません。
ベンチャーバブル? スタートアップの「資金調達」を考える
https://newspicks.com/news/1004111/国内スタートアップ最新IPO動向について記事を公開しました。
2019年12月のIPO動向では、会計SaaSのフリーが初値1,000億円超えの大型上場をした他、サイバーエージェント子会社で上場したマクアケ、医療サービスのメドレー、AI手書き文字認識のAI Insideなど300-400億円規模の初値時価総額をつけました。今後の注目IPOではビザスクを紹介しています。
特筆すべきは上場企業時価総額と比べたスタートアップ評価額。スタートアップ上位企業の評価額はと東証1部企業に見劣りしない水準です。東証全体で1,000億円を超える企業は800社程度で、ユニコーン企業はすでに上場企業全体の上位25%に位置しています。未公開市場の評価額は、中長期的な売上利益成長を背景に、上場企業と比較してかなり切り上がっていることがうかがえます。上場企業と混ぜたランキングが興味深い!とはいえ、記事が指摘するように、最近は期待が大きすぎるように感じる。
特に初値からの時価総額が上昇している企業を見ると、数十億円~500億円ほどとそこまで大きくはない。逆にメルカリなど含め、期待値が非上場で上がりすぎると後が大変。とはいえ、それを超えて成長し続ける企業が出てきてほしいとも思う。