スタートアップにおけるストックオプション付与のリアリティ
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SOは、非創業者の役員・従業員側からすると、サイズは大きいほど良く、行使価格は低いほど良いです。働くインセンティブになります。SOがもたらす価値(価額)が増えるからです。
記事の通り、メガベンチャーのSO事例が浸透してきて、プラクティスが少しずつ確立されてきている気がします。
ただ、上場すると、価値のあるSOであったならそうであるほど、SOのベスティングが終わったときにおける総報酬額(= 現金報酬 + 株式報酬)の減少幅が大きくなります。その断絶は崖のように。崖を迎えた企業において、新たな金脈を求めて人材の流出が進むのはボチボチ観測できるところです。上場後の株式報酬のプラクティスはまだ確立されていないと思います。
ここまで先を考えてSOを設計するのはとてもムズカシイ。スタートアップへの転職を検討するビジネスパーソンの中には、やりがいや会社のビジョンに対する共感もさることながら、SOなどのインセンティブによるリターンを期待してらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
一方で上場に際しての「新規上場のための有価証券報告書」を見ると、同程度の知名度のスタートアップであっても、SOの配布方針や実際に各個人が得るリターンは、会社によって大きな乖離が生じるようです。
https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/
求職者の立場としては、会社の成長に向けた見通しと同時に、インセンティブ設計についてもきちんと理解し、納得したうえで転職先を検討なさるのがよいのでしょう。
「ストックオプション」という言葉のイメージだけで飛びつくと、思惑と大きくずれてしまいかねません。SOは株価の大幅な上昇が見込める未上場会社において特に有用な報酬制度です。
一番のメリットは、企業側がオプション料を費用計上しなくて良いこと(未上場の場合)に加え、受益者側の課税率が譲渡所得課税(20%)で済むことだと思います。
本文中に出てくる「信託活用型SO」は最近利用されるケースが増えている印象で、
・ 株価が安価な時期にまとめてプールしておき、後からプールした時点の行使価格で付与できるSO
・よって後からJoinしてくる人にも魅力的なSOを渡すことができる
のが特徴でして、Sansan以外にも「PKSHA technology」や「SmartHR」等で用いられていました。
一方で、株価が安定し始めた上場企業では、
・「1円SO」(楽天等が導入)
・「事前交付型譲渡制限付株式( RS / PS )」(オリエンタルランド等が導入)
・「事後交付型譲渡制限付株式( RSU / PSU )」(メルカリ等が導入)
等のスキームも多く用いられています