価格をテクノロジーの力で最適化する。「プライステック」の全貌
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モノやサービスが売買されているところ、そのすべてに価格はある。つまり、すべてのビジネスは価格戦略とともにあると言えます。
企業にとっては利益を、消費者にとっては利便性を大きくもたらすポテンシャルがある価格戦略。今回はデータとテクノロジーを使って、この価格戦略を進化させる「PriceTech」のMOOC講座を担当させていただきました!
MOOCプロフェッサーで最年少(?)とのことで非常に光栄です。価格って面白いな、と共感してくれるNewsPickerが一人でも増えたら嬉しいです。「プライステック」という言葉に多少の違和感は感じつつも、需要予測によるプライシングの重要性はその通りだと思います。
未だに「原価+人件費+運送費+その他経費+利益」という考え方で価格を決めている企業が多いように感じますし。
マーケティング目線だと
①誰がこの商品に一番価値を感じてくれるか
②その人はいくらで買ってくれるか
から考えていくべきだと思いますからね。
日本を代表する企業、トヨタ自動車さんなんかは、ここら辺とても上手いと感じます。本来価格というモノにもサービスにも適用可能な価値のシグナリングとしての機能を、日本のモノづくり発想だと原価プラス利益でしか捉えられなかったことに対するアンチテーゼですね。
ダイナミックプライシングしかり、リバースオークションしかり、メカニズムデザインしかりと。
私は情報が氾濫したといわれる今こそfixed pricing、即ちサブスクリプションによって、価値情報を価格だけに閉じ込めたり、効用や支払意志額のような別の捉え方をしたりしない、無機質な皆一緒の価格と限界費用がゼロの多様な情報による取引が出来ないものかと考えたことが有ります。
貨幣の基本機能は、支払と価値の尺度と貯蔵の3つと言われ、価値が貨幣に先立つ所与のように思えます。しかし価値は貨幣を介した取引(等価交換)が成立して初めて認められるので、個々のホモサピエンスの主観に基づく曖昧な所与の価値観とは異なる。
そして取引にはモノやサービスと共に価格という情報が必ず付与されなければ取引は出来ないと、思い込んでいるのではないか。
アナキストのグレーバー等が伝えたように、取引の始まりはモノとモノの等価交換ではなく、貸しと借り即ち負債だというのは、取引相手がコミュニティ内部の信頼の置ける逃げ出すことの無い人間だから。またコミュニティ外または間での取引は沈黙交易や贈与。
これらには価格が登場しません。つまり取引当事者同士が納得、信頼さえすれば客観的な指標である価格は必要無いと言えます。
これからどんどんプライシング・サイエンスとして様々な手法が研究され試行されていくでしょうが、価格が無い世界、価格以外の情報のpriorityが高い世界のようなことも、また別に考えて行きたいですね。
下部構造とされた経済など近代人が考えた虚構の岩盤であることが審らかにされつつある時代、ポスト資本主義の時代に価格と価値について考えることは、現代人の宿命なのかもしれません。次世代のためにも決着をつけなければならないテーマだと思います。