【教養】スライドでゼロから学ぶ。2019年ノーベル経済学賞
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注目のコメント
とてもわかりやすいスライドだと思います。
私も現在進行形でいくつかのランダム化比較試験(RCT)に関与させていただいていますが、医療の世界では、多くの治療がこのRCTで有効性と安全性の両者が評価された上で、現場で広く用いられることになります。
いくつか補足ですが、ランダム化は必ずコンピューターを用いるというわけではなく、封書などを用いて行う場合もあります。また、必ずしも「多数」の人を用いるというわけではなく、実際には測定するアウトカムと予想される結果に応じて必要な数を算出して行うというのが正確です。
スライドでは2群間比較が紹介されていますが、3群比較や多群比較も可能です。また、このようなRCTを集積して、メタアナリシスという手法でさらに良質なエビデンスを構築することも可能です。最近では、多数の治療法を一気に間接比較してランキングするネットワークメタアナリシスという手法も開発されており、より複雑な命題にも根拠を示すことができるようになりました。
何れにせよ、多くの方に影響を及ぼすことについては、これからの時代、丁寧にエビデンスを構築していくことが非常に重要になると思います。エビデンスのまだない時代から良かれと思って行われてきたことが、実はマイナスのことだったと判明することもよくあることだからです。「ノーベル経済学賞」というと難しいイメージですが、今年のは比較的わかりやすく実践的な研究でした。
今回の受賞者たちがどうやって貧困問題の解決にイノベーションを起こしていったかをスライドを活用してわかりやすい記事にしました。
経済学や貧困問題に関連して、日曜日は大阪大学の安田准教授の解説記事、月曜日は途上国の現場で活躍している慎泰俊さんへのインタビュー記事を予定しています。開発経済学でノーベル賞を受賞。その開発経済学とは何か、をわかりやすくインフォグラフで解説したレポートです。
経済政策がどれだけ効果があるのか。議論で済ませるのではなく、社会実験によって、数値でその効果を検証する。
その手法が、RCT。ランダムサンプルに対して実験することにより、偏りをなくすというベーシックな手法。
壮大な社会実験を実施したことの意義が認められてのノーベル賞受賞なのでしょう。