イエメン南部独立派が大統領宮殿占拠、「内戦の中の内戦」で人道状況悪化の懸念
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イエメンは古来から内戦の尽きない国です。1960年代から90年代も、北イエメンと南イエメンの2つに割れていました。あれも、王政派と社会主義反王政派の対立、という格好をとっていましたが、実のところ、対立軸は部族と、各部族が根城にする地域間の争いです。リビアやイラクもそうですが、とうてい二つの勢力に分けられるものではありません。
今回の内戦は、北部を根城にするフースィー派(イランの支援を受けた宗教・政治運動であるとともに、基本的には部族つながり)と南部の諸勢力によって戦われています。
南部の諸勢力は、ひとまとまりではありませんが、大多数は、サウディアラビア・UAEの連合軍がスポンサーになって暫定政府というものをつくりました。暫定政府の目標は、フースィー派を倒してイエメン全土を統一することですが、何年かけても前進できずにいます。
ここからが複雑怪奇なのですが、UAEは暫定政府の中の南部独立派を支援して、南部の主要都市アデンを占拠させました。これはサウディアラビアの与り知らぬことで、UAEはあたかもイエメンの分断を固定させて何らかの目的に利用しようとしているように見えます。
これまで、サウディアラビアは単純にイランの支援を受けたフースィー派が憎くて何年も空爆を続けているだけですが、UAEには戦略的意図がうかがえます。
UAE軍は、イエメン沖の要衝ソコトラ島を占拠するとともに、ソマリアやスーダンなどの現地勢力を支援しています。これにイエメン南部を合わせると、インド洋西部と紅海、いわゆるアフリカの角の周辺を押さえることになります。