新たな物理学に突入か、固体の中を動き回る謎の粒子 熱は通すが電気は通さない奇妙な物質を発見
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以前、
京大・東大・茨城大など、絶縁体の内部を動き回る未知の中性粒子を発見
https://newspicks.com/news/4020198?ref=user_145483
でピックした話題ですね。
論文は、arXivで読むことができます。
https://arxiv.org/abs/1905.05357
「粒子」と言うと、日常感覚では「小さな粒」といったイメージで、当然小さいながらも大きさをもち、つまり「表面」=「空間との境界」を持ち、さらに「質量」をもった物質のイメージがあります。
しかし、物理学の世界では、粒子(量子)とは、もっと抽象的な概念で、ざっくり言ってしまうと1個2個・・・と数えられる存在(「離散的」という)のことを指しています。そこには境界も質量もありません。
特に、物質内部の物理学(物性物理学)においては、日常的なイメージが適用できそうな原子やその構成要素である原子核と電子といった粒子の他に、記事中でも説明されている「フォノン」(格子振動を量子化したもの)や、例えば半導体中で電子が不足してあたかも正電荷をもった粒のようにふるまう「正孔」(ホール)など、粒として外部に取り出すことはできないけれども、様々な相互作用の中であたかも粒子のように数えられるものを、「準粒子」(quasi particle)として粒子のように扱います。
そして、実は準粒子とは多体系における集団現象としての何らかの「素励起」であるとも言えます。
例えば、(シャボン液のない)水中の気泡は、水中では数を数えることはできますが、水という媒体があってはじめて成立する粒なので、水の外に取り出すことはできませんよね。ドーナツの穴だけ取り出す、みたいな話しです。
この様に、日常感覚的な意味での「粒子」の概念が拡張された「準粒子」は、何を基準にするかによってある意味何でも考えることができて、言うならば人間にとって興味ある数えられるもの、ということが出来るかも知れません。
確かに、電気を流さず(電気的に中性)で極低温でも熱を伝える準粒子はこれまで知られていないので、この物質の熱伝導はこれまで知られていない新たなメカニズムが隠されている可能性があり、その点に関しては「新しい物理」であり大変興味深いですが、それをもって「新たな物理学」とまで言えるのかはまた別の話しでしょうね。先月見かけた研究です。かなり内容を噛み砕いた記事が出てきましたね。噛み砕きすぎてよくわからない雑談まで混じってますが。当方アイドルユニットの名前はまともに言えませんがレアアースなら全部言えます。
そういうものです。
ほぼ絶対零度付近であり動ける粒子は無いはずなのに熱が伝わるのが不思議だという話ですが、現状、原理の解明に対して有効な実測手段は極めて少ないと思われ、実験そのものがとても大変そうだなという感想です。
電気的な励起過程なんかは割と明確な結合エネルギー変化を伴うので、電子線エネルギーロス分光などで様子を探ることができますが(イオンの価数などは最近は電子顕微鏡と組み合わせた分析で「視る」ことができます。バッテリーのLi移動なんかも見えます)、いかんせんフォノンのエネルギーは小さすぎます。定量的に測定できた話を聞かないような。少なくとも僕が用事のある世界においてはフォノン由来の熱散漫散乱は残念ながらノイズ扱いです。そもそも本現象はフォノン関係ないかもという話なので、余計に難しい。
この先どのような実験を進めていくのか、その手法自体にも興味があります。今回の報告は,ブラックホールの中心には重たい何か(星)があるだろうという説明に似ていて,従来熱伝達を誘導する媒体として知られるフォノン(ここでは量子振動QO)とは異なり,得たいのしれない何か(粒子)が熱伝達に関係しているだろうというものです。
>>>Our findings expose novel gapless and highly itinerant,charge-neutral quasiparticles in this unconventional quantum state.