日本で「ベーシックインカム」導入は果たして可能なのか
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「AIとロボット化で大失業時代」は現代のラッダイト運動に過ぎない。産業革命時も「機械化で仕事が奪われる」とされたが、現代のヨーロッパは当時の人口の3倍。しかし失業率は66%ではない。もっと楽観的に考えるべきだ。
また通貨発行権を持つ政府がBIをする場合、財源などの心配は不要だ。なぜなら文字通り通貨発行権があるためだ。過度のインフレにならない限り、政府はいくらでも国債を発行できる。財源は全て国債で実施しても良い。
しかしながら、BIはまずうまくいかない。
ベーシックインカムは「カネがあればモノが買える」と言う前提で検討される政策であるが、その前提は非常に脆い。
「カネがあればモノが買える」状態とは、「生きるために必要なモノは必ず誰かが生産している」と同義。果たして「働かなくても良い」「好きなことのみに時間を使えるようになる」と言う状況で、誰が一生懸命に【生きるために必要なモノ】を生産してくれるのか。
「農産物など全て海外から買えば良い」と言う意見も聞こえる。
しかし思い出して欲しい。
かつて「エネルギーなど全てアメリカから買えば良い」と言う政策を過度に進め、いざ石油が輸入できなくなった時、どのような行為に出たのか。
多くのベーシック・インカム賛同者が勘違いしているように見えるが、【経済力】とは「カネの多さ」ではなくて「モノやサービスを生産できる力」を指す。
従ってBIは経済力を毀損し、国家としての強さをも弱める政策となるし、過度のインフレーション・リスクを招く政策でもある。
例えば終戦直後、労働力を含めた国内の生産能力は戦争により徹底的に破壊された。従って需要を満たせなくなり物価は上昇した。即ち、食べ物を買おうにも「カネでは売ってもらえない状態」(=過度なインフレ)となった。
一方で、国民の多くが困窮し飢える中でも、一部の富裕層は飢えなかった。
さて、ここでBIを導入していれば、多くの国民の需要は満たせただろうか。BIに賛同する人はこの問いに答えるべきだ。
ベーシックインカムによりカネを配れば貧富の差は無くなるとか、生活の心配は無くなるとかの主張はかなり危険なものだ。
重要なのは国民の需要を自国の生産力で満たせるための【経済力】なのであって、【カネを持っている事】ではない。BIは拝金主義の産物に過ぎない。
(一部編集後再掲)BIはどう設計するかと同時にどう実現するかの方法論も重要。スイスが国民投票で賛成20数%で否決したものの、女性参政権も第1回は20数%で否決、3回目で可決という興味深い事例が紹介されている。大きな制度改革の手法として、政官へのロビイングやデモ以外にこうした手法があっていいと思いました。
ベーシックインカム賛成を唱える人の多くは、
「AI技術などの革新が雇用を減少させるから」
という理由を挙げている。
一方でフェイスブック創業者のザッカーバーグは、
「人々が何か新しいアイデアを試す時に、保険的な安定収入があったら挑戦しやすいから」
という独自の理由を挙げている。
これはまさしくだと思います。
何か新しいアイデアに挑戦したくても、安定した収入がないことを理由に踏み出せないケースは多い。
挑戦を増やすためのベーシックインカム、おもしろいですね。