金融庁、わずか10日で削除「年金の水準が当面低下」などの表現
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参院選挙対策ですよね。日本は国政選挙が多すぎる(参院は3年毎、衆院は解散あり)ことが、ポピュリズムと近視眼的な政治家の行動を助長し、国の政策が混迷する原因になっていると考えられる。
注目のコメント
「老後2000万円程度必要」という数字自体は、金融広報中央委員会 (事務局は日銀内)や全銀協などが昨年来出している数字と全く同じ水準で新味はありません。
ただ、今回の訂正プロセスには大いに違和感があります。小山内さんもご指摘の通り、もし本当に適切でないなら、金融審議会として再度検討すべきであり、行政が上書きするのは、(誤解を恐れず申し上げるなら) 社外の委員会などの意見を会社側が修正してしまうような不自然さを感じます。
もちろん、ある程度やり直しの議論などは持たれたのでしょうが、それならば、金融庁の訂正ではなく、そうしたやりとりも示さないと、せっかく長時間かけたであろう会議の意義が薄れてしまいかねず、残念に思います。書き出しに「金融庁が3日にまとめた」とありますが、この記載は正確ではありません。
別の記事でもコメントしていますが、この資料を出したのは、金融庁本体ではなく、あくまで金融審議会(ただし、金融庁に附属してはいます)です。
・審議会 - 参議院法制局
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column030.htm
金融審議会は、金融庁からの諮問を受けて、「調査審議」や「意見」をする審議会です(金融庁設置法第7条第1項各号)。
まさか毎日新聞の(おそらく政治部か経済部)の記者がご存じないとは思いませんが、この書き方では、金融庁本体が、この報告書をまとめたように見えます。
(まあ実質的にはそうなのかもしれませんが)
さて、今回の変更がどのような経緯でなされたのかは報道されていません。
ただ、仮に、金融庁からの指示があったにせよ、野党からの批判が原因だったにせよ、これは審議会の審議のあり方として、妥当なものなのでしょうか?
どのような原因にせよ、本来、このような審議会というものは、自由で中立公平な調査審議・意見をするものです。
(形骸化している、所管官庁の代弁をしているだけ、という批判もありますが)
にもかかわらず、こうも簡単に報告内容が修正されてしまうのであれば、今後、他の審議会が自由で公平中立な調査審議や意見ができなくなるのでは?と懸念します。2014年の年金財政検証(※1)では、下記の結果が明らかにされています。
1.所得代替率(現役時の手取りのどの程度の割合の年金を受け取れるか)は50%を当面は維持
2.しかし経済成長、労働参加率が現在並だと、42-45%程度の代替率に下がることもある
つまり、そもそも現役並の暮らしを送る場合は、寿命の伸びを考えると一定の資産が必要であること。また公的年金水準が低下する可能性は、もともと織り込まれていたことです。
しかし、だからといって年金制度そのものが破綻することはありませんし、年金を払わない若者は老後に塗炭の苦しみとなります。
与野党の国会議員にお願いしたいのは、年金に関して感情的な表現を避けてほしいということです。
よりよい改革は望みますが、現行制度が劣悪で、何かバラ色の制度が他にも存在すると想起させるのは不正義だと考えます。
※1 https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/verification/verification_05.html