【教養】アメリカで話題沸騰。新しい経済理論「MMT」とは何か
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注目のコメント
いま世間を騒がせているMMT(Modern Monetary Theory)に関して、
①細部に入り込み過ぎずに大まかにポイントを押さえる
②結論の提示(押し付け)ではなく、論点を丁寧に押さえる
③建設的な議論として再構成する
以上を念頭におきながら、読まれる方々の考えを深めるに資するよう願いつつまとめてみました。
はじめてMMTの記事を読まれる方にはわかりやすく、また、MMTの記事は既読でもそれぞれが断片的だと感じている方にはより包括的な理解が可能になるように心掛けました。
MMTは内容が過激に見えるところがありますが、できるだけ事象の本質を捉えられる内容になるようにと砕心して書きました、もしそのような記述になっていましたら幸いです。
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経済学を長年にわたり学んできた者として多分に漏れず、私自身は主流派の教科書で経済学に親しんできました。
私がMMTを知ったのは数か月前ですが、その時の衝撃は今でも覚えています。
それを踏まえての私の感想は端的で「MMTは主流派から見れば十分に異端的だが、主流派はMMTときちんと向き合って議論すべき」でした。
「MMTと主流派の議論で、経済学はもっと強くなれる」と思えたからです。
私はこの論争が経済学を本質的により頼もしいものにし、私たちにもっと役立つものになれる、大きな機会だと確信しています。
奇しくも昨今、主流派内でもマクロ経済学の見直しの機運が出てきています(cf. ブランシャール、サマーズ「経済学の進化か革命か」 https://voxeu.org/article/evolution-or-revolution-afterword)
一人の経済学徒として、また一市民として、この原稿が何かしらの役に立つようでしたら望外の幸いです。MMTは別として、アベノミクス以前の国内主流派の主張「金利急騰とか通貨暴落でハイパーインフレになるとか」が、アベノミクスの実施によって誤りであったことが証明されていると思います。
政府が自国通貨建てで借金してどんどん使っても、日本がインフレになっていないのは事実です。粗っぽくまとめると、こんな構図じゃないかしら (・・?
国民が生み出す550兆円のモノとサービス(GDP)は、政府と民間が分けて使います。政府の取り分は約70兆円の税収で、政府に税金を払った残りは民間の取り分です。
政府は自分の取り分だけでは不足するので、毎年、自国通貨建てで借金してモノやサービス以上に使ってしまう。片や節約志向の日本の民間は、自分の取り分全てを買って使うことをせず、せっせと節約して年金基金やら銀行やらに預金する。ホントに広い意味で政府が使い過ぎるより民間が節約する分が多いから、日本全体としてモノとサービスが余ります。日本が生み出すモノやサービスと、政府と民間が費消するモノやサービスとが見合っているから、不足するモノやサービスを奪い合ってインフレが起きることがないのです。
でも、節約志向の日本の民間が習慣や考え方をあらためて、過去の貯金も動員してバンバンモノやサービスを買い始めたらどうなるか。忽ちモノやサービスが不足して、インフレになるのは必至です。そうなった時、政府は取り分を節約して需要を減らし、インフレを止めれば良いというのがMMT。でも、国民の人気取りが政権の延命に繋がる民主国家の政府にそんな覚悟ができるのか。難しいように思うけど・・・
フリーランチで政府にいろんなサービスを求めることは心地よいけれど、“タダほど高いものはない”という教訓は、ここでも当てはまるんじゃないのかな (^^;