自由貿易礼賛に変化 エコノミストから聞こえる反省の弁
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注目のコメント
記事に出てくるダニロドリック教授の著書「グローバリゼーション・パラドックス」は多くの人に読んで欲しいです。
巻末にある自由貿易の喩えが秀逸です。
「窓を閉め切れば蒸し暑く、窓を全開にすれば害虫が入ってくる。適切な網戸が好ましい。」
「自由貿易はいいものだ」の根拠とされる理論「比較優位の仮説」は、様々の全く現実的ではない前提を満たしていなければ成立しません(果たしてそれを学問と呼べるだろうか)。
自由貿易の歴史を紐解けば、経済力(モノやサービスを生産する能力)の強い派遣国の金儲けのために、【あたかもフェアであるように見せかけた】騙しのテクニックとして用いられてきました。
結果として経済力の弱い国家が自由貿易により植民地となっていった歴史を、経済学者はもっと真摯に受け止めるべきです。
そもそも自由貿易の理論そのものが、植民地化を正当化するために考案された騙しの理論である疑義もあります。
リカードが「比較優位の仮説」を提唱してから200年も経過しますが、そのような現実は成立していません。
なのに世界は200年もの間、この仮説が正しい事を主張する経済学者により、愚かな社会実験が延々と続けれてきたのです。
記事にある通り、自由貿易を実行して利益を得るのは、経済力の強い国家の大企業のみです。
経済力の弱い当該産業の企業は壊滅し、時には国家そのものが壊滅します(ムガール帝国は大量の餓死者を出して滅亡した)。
一方で、経済力の強い国家側の国民もデフレ圧力に晒されるため、貧困化する可能性が高くなります(現在のEU経済圏におけるドイツを見よ)。
従って大企業の巨大な利益の享受を受けるのは、株主。
株主は時に、献金等により巨大な政治力を持ちます。
歴史や世界だけでなく、日本でも巨大な政治力により経済学者を動かし、自由貿易を理論的に擁護し続けているのが実態ではないでしょうか。
経済学者かつ大企業会長であるパソナ会長の竹中平蔵氏の詭弁も酷いです。
「自由(Free)貿易は、自由(Liberal)だからやるのです。あなたは自由(Liberal)を否定するのですか。」これをあたかも新しい話かのように言われると、強烈な違和感があります。杉本さんご指摘のロドリックのグローバリゼーション・パラドックス(素晴らしい本です)は2010年の本ですし、こうした話はトランプ大統領当選の際にも散々していたはずです。それでも自由貿易派が優勢だったのは、何の反省もせずに、こうした議論を、単に忘れてしまっただけだったのでしょうか?
ニュースサイクルの早さというかなんというか、脱力感を禁じ得ません。