【完全理解】今日学び直す、震災8年「原発」は何か変わったのか
コメント
注目のコメント
東日本大震災のような未曾有の災害により、エネルギー政策は大きく変わり、再エネの導入が大きく進むかと思っていましたが、結局、日本の再エネは思っていたほど進まず15%止まり。
一方、ドイツは着実に再エネの導入を推進していて、2018年のエネルギー構成は再エネ40%超えとなっています。
確かにドイツと日本では、地理・気候条件などが異なるため、単純に比較できませんし、一概に日本がダメだとは言えないと思います。
再エネ技術でいえば、20年前は日本は世界トップクラスでしたし、地域熱供給は、1990年代に日本でも全国に普及展開されました。
しかし、20年で再エネ技術は遅れを取り、地域熱供給は採算が取れずに中止・撤退している地域がほとんどです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39742980Y9A100C1000000/
https://mainichi.jp/articles/20190311/ddm/002/020/116000c
中国は、日本で陸上風力・洋上風力・太陽光発電の建設を進めています。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4072/
昨年、第5次エネルギー基本計画が公示されたが世界潮流から大きくズレているものでした。
エネルギー政策は国家の根幹をなし、左右する重要なもの。
だからこそ、もっと我々が関心をもつべきだと思いますし、経済面からも国家安全保障の面からも再考して欲しいと思っています。あれから早くも8年が経ちました。
福島事故直後は、連日メディアを賑わせていたエネルギー関連の報道も、今や目にする頻度は一気に下がり、日本各地の原発がどうなっているか、よく分かっていない人も多いのではないかと推察します。
原発、そしてエネルギー政策について、その是非ではなく、ビジネス、経済性の観点から、推進・反対にどちらに寄るでもなく、鋭い意見を投げ続ける東京理科大学の橘川武郎教授と、この8年の本質を改めて見つめ直しました。8年前の震災は良くも悪くも日本の電力システムの転機となった:
[ 夢のエネルギー神話の崩壊 ]
ー 福島第一での事故を「民間企業の責任」と言い切って、当時の政権が原子力行政から逃げた。
ー 再稼働するのに、新技術基準での1ヶ所あたり1000億円前後の対策費が必要になった。
ー 結果、電力業界が「経済原理」で老朽原発の廃炉に踏み切りだした。
ー 加えて、海外での原子力プロジェクトが全て、経済的背景で中止や撤退に追い込まれた。
要するに日本製原発は、「ある物は使わなきゃ損だが、新しく作るのは無理」という状況になり崩壊。
[ 電力システム改革での自由化 ]
ー ガス会社や製鉄会社などが発電事業を本格拡大。
ー 電力会社が原発再稼働で脳死状態の中、これらの独立系発電事業者が新規火力発電所建設を次々に決めた。
ー 同時に電気の販売でも新規事業者参入が可能となり、競争の原理が働き出す。
結果、電気はもはや「電力会社である必要はない」という市場に変化。
[ FITの導入による再エネバブルと主力電源化 ]
ー 破格のソーラーへの固定買取価格により、発電が「安定利益の金融投資案件」となり再エネブーム。
ー ソーラーの価格が落ちたてブームは安定し、現在はバイオマスブーム。
ー 風力も地道に拡大し、火力発電並の規模が可能な大型洋上風力発電も検討段階に。
ー 再エネの主力電源化により、再エネ嫌いの電力会社も参入。
やっと再エネが「一人前の発電手段」として認知される。
これら3つにキーワードにESG投資からの石炭火力への逆風を足した日本の将来は;
ー 過疎地では、農作物の代わりに再エネで電気を地域が出てくる。
ー 洋上では大型風車がまわり、横では古い原発や石炭火力発電所の解体がされる。
ー 環境に比較的優しいガス火力が、発電の安定化のために少数ながら都市圏で建設される。
という事になり、文中の原発15%程度、再エネ30%の構成は夢物語とも言えなくなる。
8年後に感じる最大の事は、「日本の旧来のシステムを破壊して変革するにはあまりにも時間がかかり過ぎている」という実感ではないでしょうか?